IT企業各社がつくる業界団体が、共通の違法コピー防止技術の策定を進めることになった。これにより、多くのデジタルコンテンツやハードウェアの互換性を失わせるコピー防止技術の乱立状態に終止符が打たれることが期待される。
米国時間4日に発表されるCoral Consortiumには、ソニー、松下電器産業、Hewlett-Packard(HP)、Philips Electronics、Samsung Electronics、Twentieth Century Foxの各社、ならびにデジタル著作権管理(DRM)技術を開発するInterTrust Technologiesが参加を予定している。
同グループが解決に取り組む問題は、Apple ComputerのiPod音楽プレイヤーの所有者にはお馴染みのものだ。同プレイヤーでは、NapsterやMicrosoftなどAppleのライバルが運営するオンライン音楽販売サイトから購入した音楽ファイルは再生できない。音楽や映画、ビデオゲームのようなコンテンツを保護するDRMソフトウェアはプロプライエタリなもので、しかも現在数多くの企業が互換性のないさまざまな技術を開発している。
参加を予定する各社によると、Coralでは一連の技術仕様を取りまとめ、さまざまな違法コピー防止技術を他の技術に変換できるようにすることを目指すという。
「DRMの利用者が増えるにつれて、この(互換性の欠如という)問題が悪化している。Coralの目標は、各種のDRMシステムをネットワークで結び、ユーザーが独自のDRMを構築できるようにするための方法を見つけ出すことだ」とInterTrust最高経営責任者(CEO)のTalal Shamoonは語った。同社は2002年に、ソニーとPhilipsを含む企業共同体に買収されている。
さまざまなDRM技術の互換性の問題は、過去1年間にますます重要になってきており、時にはそれが企業間の対立を招く事態にも発展している。
互換性を欠く複数のDRM技術が存在する状態は何年も前から続いてきているが、AppleがiTunes音楽ストアのサービスを開始し、さらに同社のiPodが目を見張る売り上げを記録していることから、この問題がついに前面に浮上することになった。Microsoftを含む多くの企業は、自社版のオンライン音楽ストアを急いで立ち上げ、音楽のダウンロード販売を始めた。しかし、Appleが同社独自のDRM技術である「FairPlay」のライセンス供与を拒んでいることから、iPodで再生可能な楽曲を正式に販売している競合他社は1つもない。
唯一の例外はRealNetworksだ。同社はAppleの許可を得ないまま独自にFairPlayと互換性を持つ技術を開発し、Apple以外ではただ1つiPodと互換性を持つデジタル音楽サービスとしてこれを宣伝した。これに対し、Appleは激しい抗議を行い、訴訟の可能性まで口にした。
音楽業界や映画業界の各社を含むコンテンツの所有者は、DRM間での互換性を実現するよう舞台裏で懸命に働きかけてきていた。これらの企業は、DVDやCDのような業界全体の支持する標準を好んでおり、ある製品を他のメーカー製ハードウェアでも再生できるようにしたいと考えている。
このほかのグループも互換性の実現を強く求めている。Moving Pictures Experts GroupのLeonardo Chiariglioneが率いるプロジェクトは、昨年夏から互換性に関する標準の策定に取り組んできている。
しかし、コンシューマ向けの違法コピー防止技術に関してもっとも有力なAppleとMicrosoftは、どちらのグループにも参加していない。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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