Microsoftと欧州委員会(EC)は米国時間9月30日、Microsoftの独禁法違反をめぐって同委員会が言い渡した是正措置について、これを検討している欧州法廷の判事から質問攻めにあった。
第一審裁判所長官のBo Vesterdorfは現在、ECの改善命令に対するMicrosoftの控訴を審理している。ECは3月に下した裁定のなかで、Microsoftに対して、競合各社への技術情報開示と、メディアプレイヤーを搭載しないWindowsの発売を求めていた。
Vesterdorfは2日間にわたって行われる審問の初日、技術情報をライバルに開示した場合Microsoftは回復不能の損害を被るのか否かなど、両者に対して鋭い質問を行った。また同長官は、ある市場におけるMicrosoftの独占的立場が、別の市場での競争抑圧に利用されているとするECの主張に関しても質問を集中させた。
EC側の証言に立ったFree Software Foundation Europe(FSFE)会長のGeorg Greveは、「長官は内容を把握するのが非常に早く、当事者たちがごまかそうとしている部分について粘り強く質問していた」と語った。FSFEはオープンソースソフトウェアの業界団体。
Vesterdorfの判断は幅広い影響を与えることになるため、ハイテク業界はこの審問に注目している。この判断の結果によっては、ソフトウェア開発者やコンピュータメーカーにMedia Playerの競合製品を使う選択肢が生まれたり、ほかのソフトウェアのバンドル阻止に向けた法的手段がとれるようになる。
VesterdorfがECの判断を支持した場合、Microsoftは裁判団の命令に即座に従わなくてはならなくなる。一方、Microsoft側の主張が支持された場合は、約2年を要する裁判に敗訴しない限り、同社には情報共有やWindowsからのメディアプレイヤー削除の義務がなくなる。
裁判の関係者らは、審問の初日だけでVesterdorfがどちらに傾いているのかを判断するのは困難だとしているが、その大半は長官が用意周到だったと語った。
Computing Technology Industry Association(CompTIA)の担当弁護士で、本件ではMicrosoftを支持するLars Liebelerは、「長官は本件の技術的な問題をよく理解しており、両当事者の最終弁論に長時間目を通し、2週間前から彼らに質問をしていた」と語った。
Microsoft法律顧問のBrad Smithによると、同社も同様の見方をしているという。
Smithは声明の中で、「裁判所が本件の核心にある重要な問題を確認したことは明らかだ。午後の審問では相互運用性に関するECの論拠に根本的な欠点があることが明らかになった。話題がWindows Media Playerに移る明日を楽しみにしている」と述べた。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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