米下院は、ファイル交換ネットワークの取り締まり策として、インターネット上の著作権侵害行為に対する罰則および連邦警察の捜査権を強化する法案「Piracy Deterrence and Education Act(PDEA)」を可決した。
米下院で28日(米国時間)、広範な著作権法案「Piracy Deterrence and Education Act(PDEA)」が発声投票で可決された。これにより今後FBIや連邦検察官は、ファイル交換者らに対する捜査や有罪宣告がより容易に行えるようになる。また、映画館内の不正録画を有罪とする規定や、米司法省によるオンライン著作権侵害の取り締まりを促す規定も盛り込まれている。
「映画、音楽、ソフトウェア、ゲームなど、著作権で保護された何百万ものファイルが違法にコピーされ、疑惑のピア・ツー・ピア(PtoP)ネットワーク上に無料でダウンロード可能な状態に置かれている」と語るのは、著作権に関する下院小委員会の委員長を務めるLamar Smith下院議員(共和党:テキサス州選出)だ。「著作権侵害行為は、合法的なコンテンツの供給元を探している人からコンテンツ開発者まで、全ての人々に損害を与えている」(Smith)。全米レコード協会(RIAA)や米国映画協会(MPAA)は同法案を強く支持している。
同法案の反対者らは、28日の可決前に最後の反対運動を行い、下院の指導者らに議事日程からPDEAを除外するよう強く求めたが、失敗に終わった。
4つの図書館協会、全米保守連合(ACU)、米国納税者連合(NTU)、デジタル権利擁護団体のPublic Knowledgeなどの団体が共同署名した書簡には、PDEAが成立すれば、著作権法の法的責任の範囲が大幅に拡大されると共に、対テロ戦争用の1500万ドルの政府資金が、大手映画製作会社やレコード会社の特定利害保護のために転用されることになる、と記されている。
PDEAの中で最も論議を呼んでいるのは、1000ドル相当以上の著作物を「一般大衆に配布する目的で」提供した者に対し、3年以下の懲役および25万ドル以下の罰金を科している部分だ。仮に同法案が立法化されれば、検察官は1000ドル相当の著作物が実際にダウンロードされたことを立証する必要はなく、単にそれらのファイルが共有フォルダの中で誰もがアクセス可能な状態に置かれたことのみを証明すればよいことになる。
既存の米電子窃盗禁止法(No Electronic Theft Act:NET法)の下でも、連邦検察官が個人の著作権侵害者を刑事告発することは可能だが、これまで実際に起訴されたケースはない。米政府によるNET法に基づく刑事告発の可能性が最も高まったケースは、政府が先月、Underground Networkと呼ばれる、あるファイル交換グループに対する捜査を行っていると発表した時だった。
28日に下院で可決されたPDEA法案は今後上院に送られるが、上院はまだ同法案に関する公聴会を開いてはいない。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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