ブッシュ大統領の軍歴疑惑報道はデタラメ--ブロガーがCBSに異議申し立て

John Borland(CNET News.com)2004年09月13日 22時13分

 今や政治集会は時代遅れだ。

 いずれ執筆される歴史書には、2004年の米大統領選においてブロガーらが行った真の貢献は、政治論争の的となっている事柄の真偽をチェックする多くの素人探偵集団を生み出したことであると記されることだろう。

 過去24時間、インターネット上では、Bush大統領の経歴について書かれたメモについてブロガーらが数多くの書き込みを行い、大騒ぎになっている。彼らは、米CBSが番組内で取り上げたBush大統領のNational Air Guard時代の経歴について書かれたメモが偽造されたものだと主張している。全米中のブロガーらはそのメモを極めて詳細に分析し、そのメモのタイポグラフィー(活字印刷)と1970年代初期のタイプライターの技術仕様書とを比較した。

 果たしてその結果は?問題のメモが「でたらめ」と主張するブロガーらが勝利したと結論づけるのは時期尚早だ。しかし、8日夜に放送されたCBSの「60 Minutes II」の放送内容の信憑性に関する問題が、主要メディアでトップニュースとして取り上げられるまでに至ったプロセスに、ブロガーらが寄与したことは間違いない。またそれにより、大統領選挙期間中の最もセンセーショナルな、あるいは単に最も風変わりな話題となりうる話の筋書き作りにも寄与した。

 カリフォルニア大学バークレー校ジャーナリズム大学院のニューメディア学教授Paul Grabowitzは、「Blogは人々が自分たちの好き勝手な主張を述べる場所と特徴づけられてきたが、それが事件の報道に役立つツールとして機能しているということが今回の騒動で明らかになった」と語った。

 Bushのメモの話は、Blog自体が持つ本質的な力を実証したが、それと同じくらい、何千人もの読者を結びつけるインターネットのより広範な力を浮き彫りにした。

 CBSが60 Minutes IIという番組の中で、Bush大統領がTexas National Guardの任務についていた当時の彼の上司が、大統領の兵役に関し疑問を抱いていることを示したとされるメモについて放映した。その直後に、FreeRepublic.comと呼ばれる保守色の強いウェブサイト上に、それらのメモはでたらめとの匿名の書き込みがなされた。

 この種の誇張された書き込みは同サイトの掲示板では良く見られるが、その投稿者の主張によると、CBSが放送したメモで使用されていたタイプライターのフォントは当時まだ存在しておらず、そのフォントが一般的に使用されるようになったのは、そのメモが書かれたとされる時期より後だという。

 Minneapolis在住のScott Johnson弁護士は9日の朝、自身が運営する保守色の強いBlog「Power Line」に、FreeRepublicに書き込まれた投稿へのリンクを張った。それにより、元軍当局者からIBMに勤務するタイプライターの修理工に至るまで、様々な読者からのメールが殺到した。その多くは、メモのタイポグラフィーについて、専門的で詳細な分析を行った内容になっていた。Johnsonはメールで送られてきたメッセージの抜粋をBlog上に掲載したが、その大半は、問題のメモは偽造された可能性が高いと主張する内容だった。

 他の保守派のブロガーらも、問題のメモとMicrosoft Wordを使って印刷されたものとの比較を掲載し、2つが事実上同一に見えると主張した。一方、自由主義者のブロガーらも意見を述べており、彼らはメモに対し疑念を抱く人々の主張を崩そうと努めている。

 最終的にDrudge Report(Matt Drudgeが運営するニュースサイトで、大手マスコミに先駆けてスクープをものにすることで有名。クリントン元大統領とMonica Lewinskyの不倫疑惑もこのサイトにスクープされた)から、Johnsonのサイトはリンクされた。その結果生じたトラフィックによってPower Lineは一時的にオフラインとなったが、このタイポグラフィーに関する疑惑を国家レベルの問題にまで引き上げる一助となった。

 全米規模のメディアであるPower Lineは、他にもCBSの報道に疑念を抱く理由を見出した。しかし、ブロガーらが取り上げた問題はNew York TimesやWashington Postといった新聞紙上で大々的に取り上げられてきた。

 Power LineのJohnsonは10日に次のように述べた。「私は多少圧倒され気味だ。まだ台風の目の中にいるような感覚だ」

この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。

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