おそらく、SP2を配布する最大のメリットは、多くのWindows PCにバグ修正ファイルをインストールできるということだろう。Microsoftは長年にわたって、Windowsのセキュリティ問題の原因はWindowsだけでなく、ユーザーにもあるといってきた。ユーザーが同社の提供するパッチをインストールしてくれれば、PCのセキュリティ問題の大半は消えてなくなると同社はいう。
しかし、いうは易く行うは難しだ。たとえば、システム管理者に社内のWindowsシステムを最新の状態に保ってもらうことを考えてみよう。もちろん、それがシステム管理者の仕事だ。しかし、企業のIT予算に限りがある以上、すべての企業が十分な数のシステム管理者を確保しているわけではない。しかも、すでにいるシステム管理者はかつてないほど大量のPCを管理しなければならない状況に陥っている。
一方、複雑で時には矛盾さえしているソフトウェアパッチを、リリースされるそばから一般のユーザーがインストールしてくれると期待するのはばかげている。コンピュータはすでに生活の一部となっており、高齢者はeBayで買い物をし、10代の若者はインスタントメッセージャーを使って友達とチャットしている。Microsoftはこうしたユーザーが、「Background Intelligent Transfer Service (BITS) 2.0およびWinHTTP 5.1 (KB842773)のアップデート」を適用しなければならない理由を理解していると思うのだろうか。パッチをあててもらうのに、もっといいやり方があるのではないか。
ある、とMicrosoftはいう。それがパッチ適用の自動化だ。SP2を適用したPCでは、Microsoftの自動更新サービスがデフォルトで有効になり、最新のバグ修正ファイルがユーザーのPCに自動的に送信されるようになる。つまり、もしMicrosoftの主張が正しいなら、次にMSBlast規模のワームがネットに蔓延したときは、利用不能になるWindows PCの数は前回よりも少なくなる--SP2の真価が問われるのはこのときだ。
ほとんどのセキュリティ専門家が、次の大型ウィルスの登場を時間の問題と見ていることを考えると、われわれは間もなく、その答えを知ることになるだろう。
筆者略歴
Mike Ricciuti
CNET News.comのエグゼクティブ・エディター。マサチューセッツ州ケンブリッジ支局の支局長も務める。
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