日本ヒューレット・パッカード(HP)は20日、データの生成から削除までを効率的に管理するコンセプト「インフォメーション・ライフサイクル・マネジメント(ILM)」について同社のソリューションを紹介するとともに、ILM実現のための製品となる、新規格Fibre Attached Technology Adapted(FATA)対応ハードディスクを7月より提供開始すると発表した。
ストレージベンダー各社が、データの重要度の変化に応じて適切なストレージシステムへ移行するよう、それぞれILM戦略を打ち出しているが、「ストレージベンダーの考え方は、アクセス頻度によってストレージの品質を変えるというストレージのみでの情報管理に焦点をあてている。しかしHPのILMソリューションはストレージだけでなく、セキュリティやネットワーク、ソフトウェア、コンサルティング、運用管理など、ビジネスニーズにあわせてITインフラを全体的に最適化するものだ」と日本HPエンタープライズストレージ・サーバ統括本部ネットワークストレージ製品本部本部長の渡辺浩二氏は述べ、ストレージベンダーのILMとの違いを説明した。
5月より日本HPストレージ部門の本部長に就任した渡辺浩二氏 |
また渡辺氏は、ストレージベンダーのILMでは、各ベンダーの抱えている製品がテープ中心かディスク中心かによっても販売戦略が左右されることを指摘する。だが同氏によると、HPでは「テープからディスクアレイまで偏りのない製品ラインアップを幅広く揃えているため、適材適所にソリューションを提供できる」と語る。
HPは、ILMソリューション実現のための技術のひとつとして、ファイバチャネル互換の接続インターフェースを実装したハードディスクであるFATAという技術をSeagate Technologyと共同で開発、これを7月より提供する。FATAは、「高性能で高可用なエンタープライズアレイに搭載し、大容量で低コストを実現するもの」(日本HPエンタープライズストレージ・サーバ統括本部ネットワークストレージ製品本部プロダクトマーケティング部担当マネージャ 諏訪英一郎氏)だという。諏訪氏によると、これまでのストレージの位置づけは、性能・可用性はあまり高くないが低コストなニアラインストレージと、高性能だが高コストなオンラインストレージという2つしか存在しなかったが、「この2つの差は大きかった。ニアラインストレージとオンラインストレージの中間としてニアオンラインストレージという位置づけが必要で、ここにあてはまるのがFATA」なのだという。
FATA対応ハードディスクの詳細や価格については、製品出荷が開始される7月に発表されるというが、諏訪氏は「ファイバチャネルを採用する場合と比べ、FATAではギガバイト価格を半額程度にしたい」としている。FATAは、HP、Seagate以外にも「他有力ベンダーが製品化を予定しており、今後エンタープライズ用のファイバチャネルやSCSIとデスクトップ用のATAの間を埋める重要なものとなるだろう」(諏訪氏)と述べた。
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