サンフランシスコ発--ハードウェアメーカー各社は、Linuxを利用して、フル装備のPCの代わりに、必要最低限の機能を搭載した「シン・クライアント」を売り込もうとしている。
1990年代には、Microsoftを敵視するOracleとSun Microsystemsが、それぞれ「Network Computer(NC)」や「Sun Ray」といったシン・クライアントの利用を提唱していたが、ビジネスとしてはほとんど成功しなかった。負荷の高い計算処理は中央のサーバにまかせ、PCの管理やセキュリティの問題を回避するほうが、所有コストも安く済むという売り文句は、大衆には受け入れられなかった。
今週開催中のLinuxWorld Conference and Expoでは、シン・クライアントを販売するメーカー各社が、Linuxを搭載した製品を展示している。なかでも一段と目につくのはWyse Technologyだ。同社は長年シン・クライアントを扱っているが、2000年にはLinuxの性能が不十分だと述べていた。
「主に顧客の関心が高まったことから、Linuxベースのシン・クライアントを中核製品として追加した」とWyseは声明の中で述べている。「われわれの顧客の商談の多くはLinuxベースのシン・クライアントを求めており、またIDCから最近発表されたレポートでは、『Linuxベースのシン・クライアントは同市場全体の約20%に到達している』とある」
Wyseでは、同社独自のLinuxであるWyse Linux V6を提供している。これは最新のKernel 2.6のほか、組み込みLinuxの専門メーカーMontaVista Softwareのソフトウェアをベースに構築されていると、同社では説明する。「Winterm 5150SE」という名称の同社のシン・クライアントは、Advanced Micro Devices(AMD)製のGeode GX 533プロセッサを採用しており、399ドルの価格で販売される。
シン・クライアントの利用にはサーバが必要だが、基本的なプロセスに関しては、だいたい本体のみで動作させることができる。Windows CEとWindows XP Embeddedは、ともにシン・クライアント用OSの選択肢だ。またLinuxは、SCO GroupのUnixWareとこの分野で競合している。
ルイジアナ州で15店舗のチェーンを展開するRouse's Supermarketsは先週、UnixWareベースのシン・クライアントから、ACR Retail Systemsが提供するLinuxベースのシン・クライアントへと乗り換えた。同社ではシン・クライアントをPOS端末に利用している。
また今週のLinuxWorldで、Hewlett-Packard(HP)は、Transmetaの800MHz版Crusoeを搭載したシン・クライアント「Compaq t5515」を発表している。
Sun Microsystemsでは、Linuxサーバからも同社のシン・クライアント「Sun Ray」をコントールできる新バージョンのソフトウェアのデモストレーションを行った。同社のSun Rayは、これまでSolarisベースのサーバのみで利用可能だった。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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