Intelは、消費電力削減と性能向上を狙って、まもなく登場するItanium 2ファミリーチップに多数の機能を追加し、購入者の関心を高めたいと考えている。
IntelのEnterprise Multiprocessor Platformsグループのディレクター、Jason Waxmanによると、来年登場予定の「Montecito」と呼ばれるItanium 2には「SpeedStep」という機能が搭載されるという。ノートPC用チップで初めて採用されたこの技術は、休止状態の時にチップの動作速度を低下させ、消費電力を低減するもの。またMontecitoには、ピーク時に動作速度を上げる「Foxton」という補完技術も搭載される。
Montecitoの消費電力は、現行のItanium 2チップより全体で約20%少なくなる、とWaxmanは話している。
同チップは、現行のItanium 2の400MHzバスを上回る667MHzバスでほかのシステムと接続され、現行の1.5GHzバージョンより速い約2GHzで動作することになりそうだとWaxmanは示唆。また、大型のMontecitoマシンには複数のバスが搭載されるが、これは16〜32プロセッサを搭載したマシンで発生するデータトラフィックの渋滞を解消するためのアプローチだ。
Itaniumの強化は、Intelにとって大きな課題の1つだ。同社は過去10年間にわたって、10億ドル以上を費やし、チップ開発やサーバの設計、ベンチャー事業への投資、ソフトウェアの開発を行い、Itanium向けに十分な環境をつくりだそうとしてきた。その結果、同チップを搭載したコンピュータが世界最速マシンの仲間入りを果たし、また売上も18カ月前から大幅に伸びてきている。
それでもItaniumのシェアは低く、アナリストやライバルからは、同チップがニッチ製品から抜け出すことはない、と断言する声が多く聞かれる。ちなみに昨年の出荷数はおよそ10万個だった。またItanium向けのプロジェクトを縮小したソフトウェア開発元もある。さらに、Intel自体のXeonやあるいはAdvanced Micro Devices(AMD)のOpteronといったチップが人気を集めた結果、Itaniumが独占を狙ったRISCサーバ市場は縮小に向かっている。
Montecitoには、マルチスレッド化などの強化策も施されている。複数のアプリケーションを動かせるようにするXeonチップサーバシリーズ用のこの技術は、今回初めてItaniumに統合される。現行のItaniumsでは1度に1つのアプリケーションしか動作できないが、デュアルコアのMontecito搭載サーバでは、マルチスレッディング機能を利用して、同時に4つのアプリケーションを動かせるようになる。
「スレッドの数は4倍に増えるが、逆に消費電力は少なくなる」(Waxman)
Montecitoでは、マルチスレッディングのメリットにより、性能が10〜20パーセント向上する(Waxman)。これに対し、IBMのPower5プロセッサにおける同時マルチスレッディングでは約30パーセントの性能向上が見られると同社は述べている。
Montecitoの後継チップにあたるTukwilaは2007年に登場の予定だが、このプロセッサはMontecitoと同様の機能を持つほか、プロセッサコアの数が増え、またおそらくその他の機能も強化されることになる。Montecitoが2コアであるのに対し、Tukwilaは少なくとも4コアとなり、最大では16コアになるとの計画もある。Tukwilaの廉価版は低価格のXeonサーバに搭載されるが、これはItaniumに対して顧客が抱く抵抗感を減らそうとするIntelにとって、重要な計画の一部だ。
Waxmanによると、Itanium 2の価格は、Tukwila登場を待つまでもなく、すでに下がり始めているという。2002年には、2wayの Itanium 2サーバの価格は1万8000ドルだったが、現在ではこれと同様の構成のシステムが約8000ドルで買え、またエントリーレベルのシステムは2100ドルほどだ。
「2年前なら、顧客は値札を見て驚いたものだった」(Waxman)
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」