ソニーは、PlayStation 2(PS2)搭載のチップを改造し、コピー防止機能を無効にしたものを販売した男に対する裁判で、画期的な判決を勝ち取った。
英国の高等法院は21日(現地時間)、改造チップ(modチップ)の生産によって、ソニーの知的所有権が侵害されたという判決を下した。こうしたチップ改造行為は、「モッディング」(modding)や「チッピング」(chipping)とも呼ばれている。
ソニーから訴えられていたのは、David Bellという名の英国人で、約1500個のmodチップを販売した疑いが持たれていた。ユーザーがPlayStation 2コンソールにこのチップをインストールすると、外国から輸入したゲームや、違法コピーしたゲームををプレイすることが可能になる。
多くのゲームコンソールやDVDドライブのメーカーと同じく、ソニーでもリージョンコードを使用し、テレビ放送にPAL方式を採用している欧州向けのハードウェアで米国や極東のソフトウェアを実行できないようにしている。
同法廷は、2003年に英国の法律となったEU著作権指令(European Union Copyright Directive:EUCD)にBellが違反したとの判断を下した。判決ではさらに、modチップの販売、広告、使用、商用目的での所有も違法だとしている。
英国の著作権法がコピー防止機能の迂回行為に適用されたのは、今回が初めてのことだ。
Sony Computer Entertainment Europe社長のDavid Reevesは、「われわれはPAL地域内でmodチップを製造・販売している者に対し、今後も法的手段を講じ続けていくという明確なメッセージを送っている」と述べている。
ソニーは最近ベルギーでも同様の裁判に勝利しているが、一方スペインとイタリアでは敗訴している。イタリアの裁判所は、いったん購入されたゲーム機では、ハードウェア変更の権利はそのゲーム機の所有者にあるとの判決を下した。
英国での勝訴を受け、ソニーは今後も他のEU諸国でモッディングに対する法的戦いを進めていくと見られている。
ソニーは2002年に、「Messiah」というmodチップを製造していた英Channel Technologyから損害賠償の獲得に成功した。このチップは、今回Bellが販売していたとされるものと同じものだ。
PlayStation 2にMessiahを使用すると、PALコンソール上でNTSC用のゲームをプレーしたり、どのリージョンのDVDでも再生したりできるようになる。またPAL用ゲーム機の色補正機能や、PlayStation 2でゲームのバックアップコピーをプレーできる機能もついている。
なお、リージョンコードに批判的な人々は、このせいで消費者が国外から安い製品を輸入することができないため、実質的に各社の利益を増やす手段として機能している、と主張している。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス