オープンソースソフトウェアを開発するJBossのある幹部が米国時間16日、同社では現在、統合ソフトウェアやビジネス・プロセス・オートメーション(BPA)ソフトウェアといった分野への進出を検討しており、実現に向けて企業買収も視野に入れている、と語った。
JBossでは現在、基盤ソフトウェアまたはミドルウェアを開発するベンダを買収し、オープンソースライセンスの下で製品を無料提供する計画を検討していると、同社の戦略・企業開発部門バイスプレジデントBob BickelがCNET News.comに語った。
同社が検討中の選択肢には、既存のオープンソースプロジェクトを買収することのほか、統合ソフトウェアやBPAソフトウェアを独自に開発することも含まれているという。また、買収にあたっては、ベンチャーキャピタリストから調達した資金1000万ドルの一部を使うことが可能だと、Bickelは付け加えた。
JBossの収入源は、無料で提供される各種基盤ソフトウェア製品、とりわけ、Javaで開発されたビジネスアプリケーションを実行するJBoss Javaアプリケーションサーバ関連のサービスやトレーニングだ。今年初め、同社はHibernateやTomcatを含む複数のオープンソースプロジェクトに携わってきた開発者を雇い入れた。現在、同社はこれらのオープンソースプロジェクトから生まれたソフトウェア向けのコンサルティングサービスも提供している。
これまでより多くのミドルウェア製品をオープンソースで提供していくというJBossの計画は、商用ソフトウェア市場においてオープンソースの開発手法が主流になりつつあることを強調するものだ。一例を挙げると、Sun Microsystemsは、米国時間15日に、同社のJavaサーバソフトウェアスイートをオープンソースに移行する可能性があることを示唆し、また、それ以前には同社のUnixオペレーティングシステム(OS)であるSolarisを最終的にオープンソースにすると述べていた。
JBossが注目しているのは、オープンソースで標準にも準拠したエンタープライズ・サービスバス(ESB)と呼ばれる統合ソフトウェアと、複雑なビジネスプロセスを自動化するサーバベースソフトウェアであるビジネス・プロセス・マネジメント(BPM)ソフトウェアだ、とBickelはいう。現在、ESBやBPMソフトウェアは、大手の商用ソフトウェアベンダや小規模の専門ベンダが提供している。
資金が1000万ドルと比較的少ないことを考えれば、JBossが獲得できるのは小規模ベンダしかないだろうとあるアナリストは述べた。
「小規模なベンダだからと言って簡単に獲得できるわけではない。彼らが獲得するとしたら、あまり目立たないベンダになるだろう」と、調査会社RedMonkアナリストのStephen O'Gradyはコメントした。
これとは別に、JBossは19日に、同社のJavaアプリケーションサーバがJava 2 Enterprise Edition(J2EE)標準バージョン1.4仕様に準拠していることを証明するためのテストを完了したと発表する予定だ。Javaサーバの標準仕様に準拠していることは、JBossのサーバ上で走らせることを想定して作成されたアプリケーションであっても他の商用Javaアプリケーションサーバ上で動くことを確認したいと思う企業顧客やソフトウェアベンダにとって、重要な要素である。
同社は19日に、JBoss 4.0 Javaアプリケーションサーバの初期バージョンをリリースする。この製品は、最新のJ2EE標準に準拠している。完成バージョンは、今夏中に出荷される予定だとBickelは述べる。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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