アップル抜きのMacworld、それでも主役はスティーブ・ジョブス

 ボストン発--Apple Computerの最高経営責任者(CEO)Steve Jobsは開催中のMacworldカンファレンスへの出席を見合わせた。それにも関わらず、この気まぐれな創業者は同カンファレンスで注目を一身に集めた。

 ボストンで開催される同カンファレンスへの不参加をAppleが表明したことで、今回は、開幕時の基調講演にJobsが登場しないことが明らかになった。同ショーを主催するIDG World Expoは代わりに、20年以上も前にAppleで最初のMacintosh開発に携わったデザインチームを集めた。

 参加したデザイナーたちは、Jobsについて、開発の重要なメンバーだったと称賛するよりむしろ、同氏の管理手法のおかげでMacの存在そのものが脅威にさらされてしまったと述べ、イベントの場を借りて何度もJobsを馬鹿にする発言を繰り返した。このグループは、Jobsの洋服のセンスをも茶化し、同氏のトレードマークである黒のタートルネックとジーンズをステージ上の椅子にかけて、これをCEOの代わりとして見せた。

 Macの父と呼ばれる人の1人で、1984年の同コンピュータ発売にこぎ着けたプロジェクトを立ち上げたJef Raskinは、「彼は(Mac)プロジェクトを3回つぶした。そこで、われわれはプロジェクトを秘密裏に進めることにした」と述べた。

 Macの発売前にAppleを去ったRaskinは、この有名なコンピュータの発売で、オリジナルの製品開発を進めたデザイナーたちよりもJobsの方が知名度を上げた理由についても、持論を展開した。Raskinの意見は、同じくMacの生みの親とされる Andy HertzfeldやBill Atkinson、Jerry Mannockを含む4人のパネリストの考えと同様のものだった。

 Raskinは、「ニュースの世界では、最も多く話をして金儲けをする人ほど、他人の偉業で称賛されてしまう傾向がある」とし、Jobsは「一度もユーザーインタフェースを理解することがなかった。Macを全部箱の中に収めるという素晴らしいアイデアは持っていたが、そこから、考えが発展することはなかった」と語った。

 ほかのパネリストも、Jobsとの経験を詳細に語った。そのなかでパネリストらは、1999年にテレビで放映された映画「Pirates of Silicon Valley」のなかでJobs役を演じた俳優Noah Wyleの演技について、自己中心主義的で支配欲の強い人間として正しく描写されていると評価した。しかし、デザイナーたちはJobsを批判しながらも、控え目ながら同CEOを評価する一面を覗かせた。

 Hertzfeldは、「Steveは厄介者だったが、極めて素晴らしい人でもあった。私は一緒に仕事をするのが楽しかったが、全員がそう思っているわけではなかった」と語った。

 

この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。

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