第二世代のiMacは、2002年の発売時にTimeが賛美したように「flat-out cool」(最高に格好いい)だったかもしれない。だが、受注を停止したばかりのこのマシンの売上が「flat」(ゼロ)になる日も近づいている。
位置調整可能な液晶画面を搭載し、白い電気スタンドを思わせるiMacは、高い需要と喝采に迎えられてデビューしたが、売上の勢いはすぐに落ち込み、アナリストらはApple Computerが全く新しいデザインのマシンを計画しても当然だと思うようになっていた。そして同社は米国時間1日に、液晶iMacの受注を停止した。
NPD Groupでコンピュータ市場の情報を収集する小売アナリストのStephen Bakerは、「旧型iMacの売上はあまり芳しくなく、また設計も古くなりつつあった」と述べている。
Appleは1日に、現行モデルの販売を停止し、新型を9月までに発売するとの声明を出したが、新型のiMacに関するコメントは差し控えた。同社は新モデルをもっと早く投入したい考えだったとしているが、何が遅延の原因かは明らかにしていない。
現行デザインのiMacは、鮮やかな各色を揃えて好評だったトランスルーセントマシンの後継機種として、2002年の1月にデビューした。液晶モデルは、Macworld Expo San FranciscoでCEO(最高経営責任者)のSteve Jobsが数千人のMacファンにマシンを公開すると同時にTime誌の表紙も飾った。そして、Appleは1カ月も経たずに15万台の受注残を抱えることになった。
このマシンは、しばらくの間は店頭在庫が揃わず、Appleは部品のコストをカバーするため、一時的に100ドルの値上げを実施したりもした。しかし、同年6月には早くも需要が伸び止まる兆候が見え始めていた。
iMacの総売上高は同年第1四半期に4億4800万ドルでピークに達し、それ以来減少し続けてきた。
「このiMacの歴史を見るとスタートダッシュの印象が強い。その後、一旦落ち着いてからは、大ヒットしたかどうかは何とも言えない」(Baker)
2004年3月決算の四半期にAppleは21万7000台のiMacを販売したが、これは過去最低の数字で、液晶モデル発表前の四半期に販売されたオリジナルiMacの23万3000台を下回るものだった。
液晶iMacは、一貫して割高なマシンのままだった。オリジナルのiMacのほうは、結果的に1000ドルを割り、最終的には800ドル以下で売られるようになったが、これに対して液晶iMacはどの機種も1200ドルを切ることはなかった。
さらにAppleは、液晶iMacを投入したわずか数カ月後に、さらに低価格のeMacを発売した。17インチのCRTモニターを搭載するこのオールインワン・モデルは、当初教育市場限定で発売されたが、Appleはすぐにこれを一般消費者にも販売するようになった。
また液晶iMacの登場と同じ時期に、アップルのマシン購入者の間でも、一般と同様にラップトップ型への移行が進んだ。現在ラップトップマシンは、アップルの販売台数の半分近くを占めている。
液晶iMacは発売から約30カ月で姿を消すことになる。一般のPCと比べれば、比較的長い間売られていたことになるが、しかし5年間も現役を続けた先代iMacと比べると、約半分の長さでしかない。1998年にデビューしたオリジナルのiMacは、2003年3月になってやっと販売打ち切りとなったが、これは液晶iMacが登場後1年以上も経ってからのことだった。
ただし、デザインの専門家らは、初代および2代目のiMacについて、それぞれコンピュータ業界の歴史に名前を刻んだ製品だと評価している。
「iMacが、IT製品全般のデザインに大きな影響を及ぼしたことは間違いない。オリジナルのiMacも、そして液晶iMacもポジティブなインパクトを与えた」と工業デザイン会社Ideoの共同創業者であるMike Nuttalは語った。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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