業界再編の波に立ち向かうSAP

Alorie Gilbert(CNET News.com)2004年07月15日 10時00分
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 SAPを率いるHenning Kagermannは、昨年のCEO就任以来、退屈とは無縁の毎日を送っている。

 5年間にわたって、SAPの共同創設者Hasso Plattnerと最高経営責任者(CEO)の座を分け合ってきたKagermannは、2003年5月に世界第3位であるこのソフトウェア企業の単独CEOに就任した。ところが、Plattnerの退任から1カ月が過ぎた頃、大手ライバル企業が手を組み始める。

 まずは競合するPeopleSoftとJ.D. Edwardsが合併を決定した。その数日後には、SAPの最大のライバルであるOracleが、PeopleSoftの敵対買収に乗り出す--しかし、この77億ドルの買収計画に対して、市場での競争を阻害するとして、米国政府から待ったがかかった。

 PeopleSoft買収計画はIT業界をゆるがせ、Oracleを法廷に立たせることになった。そればかりか、この計画はMicrosoftをSAPとの合併交渉に向かわせた。MicrosoftとSAPの両社は先月行われたOracleの独禁法裁判で、両社間で合併交渉があったことを明らかにした。交渉は早々に打ち切られたものの、そうした交渉が存在したこと自体、ソフトウェア業界のこの分野がいかに激しく変化しているかを物語っている。

 CNET News.com は先日、Kagermannにインタビューを行い、Microsoftとの短い求愛劇、Oracleの独禁法問題、そして2万人もの最高情報責任者(CIO)顧客を抱えるなかで、革新性を保ちつつもCIOたちが満足する方向性を探ることの難しさについて話を聞いた。

--SAPがMicrosoftに合併を持ちかけたというニュースは、多くの人を驚かせました。交渉は真剣なものだったのですか。

 交渉を持ちかけてきたのはMicrosoftです。話し合いには応じましたが、正式な取引条件が提示されたわけではないので、真剣に検討したかという質問にはお答えできません。具体的な話があって初めて、検討できるわけですから。

--交渉が進まなかったのはなぜですか。

 われわれは(合併によって)顧客にどんなメリットがあるかを考えました。双方の顧客に大きな価値を約束できるかどうかを検討した結果、早い段階で交渉を打ち切ったのです。

--エンタープライズソフトウェア業界は合併熱に浮かされているようです。これには具体的な要因があるのでしょうか。Oracleの独禁法訴訟ではいくつかの新事実が明らかになりましたが、その1つは(OracleのCEO)Larry Ellisonが複数の企業買収を検討していたというものでした。また2004-2005年は買収がトレンドになりそうです。再編が進む業界をどう見ますか。

 現在、この業界では新しいアーキテクチャ--Webサービスを中心としたSOA(Service Oriented Architecture:サービス指向アーキテクチャ)--が台頭しつつあります。今後、ベンダはこれまでとは違う分野、違うやり方で自社の価値をアピールしなければならなくなるでしょう。各社が自問を始めていることは明らかです。どの企業も--もちろんSAPも--今後注目される価値は何か、そこで自社をどうポジショニングするかを考えています。すべてのIT企業が自社の戦略的ポジションを見直しているのです。私はこれが(現在の買収ブームの)原動力だと確信しています。

--となると、エンタープライズソフトウェア市場のプレイヤーは、さらに減らざるを得ないのでしょうか。

 今後、顧客--特に大企業--の関心を引くのは幅広い製品ラインを持つ一握りのメジャープレイヤーだけになるでしょう。重要なビジネスプロセスを支援してくれる相手となら、戦略的な関係を築くことができますからね。となると、プレイヤーの数は必然的に絞られる--3社か4社、あるいは5社か、それは分かりません。1社になるということは、さすがにないでしょうが、数社に絞られるのは確かでしょう。中規模企業が乱立する余地はありません。幅広いソリューションを提供するか、ニッチ市場にとどまるか--しかし、ニッチ市場では大手の仲間入りをするだけの売上を上げることはできません。そうした意味で、中規模企業は市場から消えると思います。

--SAPの行く末はどうなるのでしょうか。合併は必要ですか。

 われわれは生き残るメジャープレイヤーの1つでありたいと思います。実際、その位置につけてもいます。高い市場シェアと、十分な顧客ベースを確保していますからね。必ずしも、オールラウンドプレイヤーである必要はないのですが、ビジネスの50%、60%、あるいは70%をSAPシステムで運用する企業が増えている以上、われわれもエンタープライズアプリケーションの拡充を迫られています。

--先ほどLarry Ellisonの名前が出ましたが、Oracleが米司法省との訴訟に勝った場合、欧州の規制当局はどう反応すると思いますか。

 ある程度は米司法省に追随するでしょう。これはSAPの公式見解ではなく、私の個人的意見ですが。

--Oracle対司法省裁判の大きな争点の一つは、Microsoftに大企業向け市場に参入し、SAP、Oracle、PeopleSoftと真っ向から対決する意図があったかどうかです。SAPは最近、同社と合併交渉をしたわけですが、この点についてどう思いますか。

 (Microsoftからは)中小企業市場に的を絞っているという話しか聞いていません。ですから、そうした「ハイエンド」市場に関する話は一切出ませんでした。

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