サンフランシスコ発--Oracleが仕掛けたPeopleSoftの敵対的買収に関して、Oracle対米司法省の裁判が米国時間7日に始まったが、この冒頭陳述でOracle側の弁護士は、同社によるPeopleSoft買収の阻止をねらう政府の言い分に痛烈な攻撃を加えた。
Dan WallというOracle側の弁護士は、関係者の注目を集めるこの裁判の初日に爆弾発言を行った。同氏は、OracleがPeopleSoftに敵対的買収を仕掛けたことが引き金となって、Microsoftが昨年、OracleのライバルであるSAPと合併交渉を進めていたと主張した。
Microsoftはこの日の朝、SAPと合併交渉を行ったことを認めていた。Oracleによる買収を阻止しようとする司法省は、これまでMicrosoftのことを、PeopleSoftとOracleが争う市場の競合要素と見なしていなかったことから、MicrosoftがSAPとの合併を検討していたことは、この訴訟にとって重要な意味をもつ可能性がある。
司法省側を率いる弁護士のClaude Scottは、冒頭所見のなかで、司法省が同社幹部から集めた集めた数多くの証言ビデオを公開し、Oracleの事業に関する文書を提示した。この証人のなかにはOracle最高経営責任者(CEO)のLarry Ellisonも含まれていた。だが、Scottはこれらのビデオと自分の主張の関連性を説明しようとして、途中何度か言葉に詰まってしまった。
この陳述を聞いていた米地裁判事のVaughn Walkerは、Scottの冒頭所見の間じゅう質問を浴びせかけたため、議論はときに価格付けの慣行や市場の定義などに脱線しながら進むことになった。たとえば、Scottが、どうすればソフトウェアをコンフィグレーション可能にできるかを説明しようとすると、Walkerがそれを制して「まずそれ(コンフィグレーション可能とは何か)について説明せよ」と命じることもあった。
また、Scottがビジネスアプリケーションの価格付けに決まったルールはなく、あらゆる要素は交渉可能であると述べると、Walkerは「私には昔ながらの競争のように聞こえる。それなのに、どうして政府がそれを阻止すべきなのか」と問い返す場面もあった。
Scottの主張の中心となるのは、世界のエンタープライズアプリケーション市場においてシェアで首位に立つSAPは、欧州の場合に比べて米国での存在感が薄く、PeopleSoftの製品を選択する顧客にとって、SAPが常に選択肢となるとは限らないという点だ。「SAPは、製品のアーキテクチャや高額なインストールコストを理由に、選択肢から除外されることが多い」(Scott)
Oracle側のWallはこの主張を激しく非難し、MicrosoftがSAPと話し合いを持ったことを引き合いに出して、市場における競争は絶えず流動的であることを示した。「MicrosoftはOracleにとって無視できない競合相手であり、今後はさらにその重要性が高まる」とWallは語った。
判事のWalkerからの質問で何度か中断されながらも、Wallは司法省側の言い分が「逸話や人の会話に基づいた」ものであると攻撃した。同氏はさらに、SAPや、Microsoftを含むそのほか多くの新興企業が競争相手として存在することから、OracleとPeopleSoftの合併が実現しても、市場の競争圧力は弱まらないとして、司法省の言い分には欠陥があると述べた。
「SAPがこの市場にいる限り、われわれはアグレッシブに競争していかなければならない」(Wall)
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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