日立、「情報通信事業は2005年度に営業利益率7%を達成する」

永井美智子(CNET Japan編集部)2004年07月06日 20時34分
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 日立製作所は7月6日、情報通信事業に関する戦略説明会を開催した。ソフト・サービス部門の収益性を改善し、2005年度には同事業で営業利益率7%を達成する。

  同社はまず、新たな事業コンセプトとして「uVALUE」を発表した。uはユビキタスの頭文字を取ったもので、企業・個人・公共分野における価値をITで結び、さらなる価値を生みだすというものだ。uにはユーザーの意味もあるといい、「今までユーザーの視点に立つということがやや欠けていた。顧客とともに価値を作っていき、相対的に低下した日立ブランドを取り戻したい」と日立製作所 執行役専務 情報・通信グループ長&CEOの古川一夫氏は話す。

日立製作所 執行役専務 情報・通信グループ長&CEOの古川一夫氏

 同事業の2003年度の業績は売上高が前年比22%増の2兆3145億円となったものの、HDD事業の赤字やソフト・サービス部門の不採算案件が響き、営業利益は同37%減の699億円、営業利益率は3.0%となった。ただし2003年9月にHDD事業が黒字化したことなどから、2004年度の売上高は同4%増の2兆4000億円、営業利益が同63%増の1140億円、営業利益率は4.8%を見込む。

  さらに2005年度は同事業全体で営業利益率7%以上、ソフト・サービス部門では10%を目標とする。重点施策としてはHDDやディスクアレイといったストレージ事業での世界シェア拡大、プラットフォーム事業の競争力強化などがある。

  ストレージ事業はまず、ディスクアレイのラインアップを拡大することでシェア拡大を図る。現在容量ベースで27%のシェアを持つエンタープライズディスクアレイは2006年度にシェアを29%に拡大。同6%のミッドレンジディスクアレイも10%にまで伸ばす方針だ。これにより2005年度にはディスクアレイ事業の売上高を3200億円、営業利益率を8%にするとしている。

HDD市場は年平均13〜17%で成長

  HDD事業は情報家電向けの需要が拡大し、急速に市場が拡大すると見る。日立では世界HDD市場出荷台数の年平均成長率(2003年から2008年まで)を、IDCの予測値である10%を大きく上回る13〜17%と予測。なかでも小型HDDが大きく伸び、1.0型HDDの年平均成長率は87%、1.8型は56%になるとしている。

  これらの需要に応えるため、同社では中国深センに総額約5億ドルを投資して生産拠点を追加するほか、タイの拠点にも約2億ドルを投資して生産能力を年間6000万台に倍増させる。これにより2006年度には売上高を55億ドル、営業利益率を6%以上にする計画だ。

  プラットフォーム事業については、「行きすぎたオープン化の反省を踏まえて、統合化や仮想化を進めていく」(古川氏)。日立が注力するのは、ストレージやネットワーク、ミドルウェアなどを統合したプラットフォーム「EBS(Enterprise Blade System)」だ。サーバをブレード型にモジュール化し、TCOを削減するという。

  ソフト・サービス部門については、コンサルティングの強化、プロジェクトマネジメント力の向上、コスト競争力の強化などを具体策として挙げる。Solution-HIPACEと呼ぶソリューション技術体系を整備し、ノウハウをソリューション部品として再活用する。これにより、2005年度には生産性を2002年度の2倍にするとしている。

「総合電機はユビキタス時代の勝ち組に」

日立製作所 代表執行役 執行役副社長の小野功氏

  今後の新事業については、ミューチップや指静脈認証などを利用したセキュリティソリューション事業や、アウトソーシングなどの事業を強化する。また、e-Japan戦略IIに基づく文書の電子化やトレーサビリティなどの市場については、研究投資の回収段階とみて取り組みを進める。2005年度の目標受注金額は1800億円という。

  さらにuVALUE誘発事業として、ITを活用したマンション管理やホームエレクトロニクスなどの都市開発、交通管理システムや車両制御システムなどのITS事業などを立ち上げていくという。

  「都市開発や自動車、金融、公共分野など、幅広く手がけているのは他のIT専業ベンダーにはない日立の強みだ。かつて総合電機は負け組と言われたが、ユビキタス情報社会こそ総合力が生かせると考えている」(古川氏)

事業再編は今後も進める

  日立では事業の選択と集中を進めており、今年4月にはカシオ計算機と共同で携帯電話端末事業の合弁会社「カシオ日立モバイルコミュニケーションズ」を設立。10月には基幹ルータ/スイッチ事業を手がける会社をNECと合弁で設立するほか、ATM(現金自動預払機)に関する合弁会社をオムロンと立ち上げる。

 日立製作所 代表執行役 執行役副社長の小野功氏は「市場を見ながらやるべきことは今後も進めていく」と話し、さらなる事業構造改革を進めていく考えを示した。

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