日立製作所とNECは6月25日、企業向けの基幹系ルータ・スイッチを手がける新会社を合弁で設立すると発表した。両社の開発・設計部門を統合し、基幹系ルータ市場で独走態勢にあるシスコシステムズを追撃したい考えだ。
両社は10月にも東京品川に新会社を設立する。資本金は55億円で、出資比率は日立が60%、NECが40%となる。新会社の従業員は約350名で、両社の基幹系ルータの開発部門が新会社に出向する形をとる。
握手を交わす日立製作所の小野功氏(中央左)とNECの矢野薫氏(中央右) |
日立とNECはそれぞれ事業の選択と集中を進めており、今回の新会社設立もその一環となる。基幹系ルータ市場はシスコシステムズが強く、日立とNECのシェアは「合計で12%程度」(日立製作所 代表執行役 執行役副社長の小野功氏)という。NEC 代表執行役副社長の矢野薫氏も「今マーケットで苦戦している部門」と認める。
両社の開発設計部門を一緒にすることで、「インフラ等を共通化できるだけでなく、市場の情報も共有できる。これによって、市場に適した製品をすばやく投入できる」と小野氏は狙いを話す。新会社は2006年度に単年度での黒字化を目指す方針で、「2007年度には国内シェア30%を取る」(小野氏)と意気込んだ。
新会社は両社の製品ブランドを受け継ぐとともに、新たな製品ラインも加えていく。日立とNECはすでに共同で製品開発を行っており、今年度中には新製品を投入する予定という。
製品の販売は日立とNECが行うほか、新会社もパートナーを通じて2社以外に製品を供給していく。当面は国内を中心に販売を行っていくが、今後は中国や韓国でも販売体制を整えていきたいとしている。
NECは新会社のライバルとなるシスコやジュニパーの製品も扱っており、社内で製品が競合することになる。この点についてNECの矢野氏は、「今まで自社製品が劣勢だったのは事実」と認めながらも、「新会社がターゲットとしている顧客は通信キャリアやISP、大企業などで、きめ細かい対応を求めている。顧客はマーケットの現状に満足しておらず、細やかなケアをすることで存在感を拡大していける」と話し、新会社のシェア拡大に自信を見せた。
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