シスコシステムズは6月29日、通信事業者などに向けた次世代ハイエンドルータ「CRS-1」を国内でも発表した。同製品は、米国にて5月25日に発表されたもの。Cisco Systemsの米国本社からは上級副社長兼ルーティングテクノロジーグループ ジェネラルマネージャーのマイク・ボルピ氏が来日し、「このような発表会を米国以外で開催するのは日本のみ。それは日本がCiscoにとって非常に重要な市場だからだ」と述べた。
Cisco Systems上級副社長兼ルーティングテクノロジーグループ ジェネラルマネージャー、マイク・ボルピ氏 |
ボルピ氏は、日本におけるブロードバンドインフラの普及率が急速に伸びていることを指摘し、それに伴いブロードバンドに適したアプリケーションが誕生してインターネットトラフィックが増加していると述べる。コアルータとしての寿命も短く、「コアとして市場投入したCisco 12000も、すでに現在ではエッジ製品と化している」とボルピ氏。同氏はこういった状況において、「サービス品質や信頼性を向上させるためには次世代ルータが必要。CRS-1はこのような課題に対応できる製品だ」と述べる。シスコシステムズ日本法人代表取締役社長の黒澤保樹氏も、同ルータについて、「世の中で手に入るルータの100倍の性能を持っている」と強気だ。
CRS-1のシステム容量は、最大92テラビット/秒。業界初のオプティカル キャリア(OC)-768c/STM-256cパケットインターフェースを備えており、シスコのソフトウェアファミリーIOSの最新版となるXRが採用されている。マイクロカーネルベースの同OSは、プロセス毎の独立した処理や障害による影響範囲を限定、隔離する機能を備えているほか、保守やアップグレードなどの作業の際にサービスを中断せずに作業を行うことが可能になるという。
販売目標についての問いにボルピ氏は、既存の12000ルータの販売予測が1000台程度であったのに対し、実際には2万5000台を販売したという実績もあることから、「予測は不可能だが同程度は売れるのではないか」としている。さらに、日本がそのなかでも主要なマーケットとなるだろうとし、すでに興味を持つ顧客も多いと述べた。
日本では、先日NECと日立製作所が基幹系ルータ・スイッチ事業を手がける新会社を設立すると発表したばかり。日本市場に注力したいシスコは、この新会社の設立をどう見るのだろうか。ボルピ氏は「(NECと日立の新会社のみならず)すべての競合企業を軽視することはできない」としながらも、「このビジネスは非常に資金が必要となる事業だ。3億ドル以上の資金を集めたProcket Networksでさえ、財政難に苦しむ結果となった(Ciscoは先日、Procketの買収を発表している)。多くの製品を販売してマーケットシェアを取り、そこで次の開発のための資金を稼ぎ出すことは容易ではない」と述べる。
なお、今回発表したCRS-1はすべてシスコの技術で成り立っているというが、先日買収を発表したProcketの技術をシスコの今後の製品に取り入れる予定はあるのだろうか。この点についてボルピ氏は、「Procketのハードウェアアーキテクチャは、シスコのものとは大きく違っているため、同社の技術を取り入れることはない。ただし、ソフトウェアの一部については、取り入れることもあるかもしれない」と述べた。
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