情報筋によると、Procket Networksが破格の安値で自社を売りに出しているという。シリコンバレー史上最も注目を浴び、最も高い価値を得た新興の通信メーカーが、あっけない幕切れを迎えることとなる。
Procketのスタッフに近い2件の情報筋によると、買収契約は今週早々にも発表される見込みだが、買収者はまだ不明だという。両情報筋はいずれも、Cisco SystemsとFoundry Networksが買収候補者に浮上していることを認めた。買収額は8000万〜2億ドルの間になる可能性が高いと両筋は述べているが、これはProcketがベンチャーキャピタルから集めた3億ドルという驚異的な金額を大きく下回るものだ。
ProcketとCiscoの代表は、この件に関するコメントを差し控えている。Foundryはこの記事の掲載時点で、コメントを求める電話に返答していない。
Procketはインターネットのトラフィックを振り分けるハイエンドルータのメーカーで、1990年末の異常な投資ムードを体現する存在だった。企業の通信支出が最高潮に達した1999年に創立された同社は、インターネットプロトコル(IP)ルーティングのコア市場でCiscoやJuniper Networksの次の挑戦者になると期待されていた。CiscoとJuniperは、IPルータ市場であわせて90%以上のシェアを押さえている。しかし、Procketは登場後5年経っても、その期待に答えることはできなかった。
市場調査会社のThomson Venture Economicsによると、Procketは一時米国で最も市場価値の高いベンチャー企業とされ、2002年時点での評価額は15億5000万ドルと言われていたが、同社はその立場から一気に滑り落ちたという。
Procketは、Sharad Mehrotra、William Lynch、Tony Liという著名な3人が集まって創業したことで評判を集めた。MehrotraとLynchは共に元Sun Microsystems社員で、Procketのプログラマブルなカスタム・マイクロプロセッサの開発を率いた。Tony LiはCiscoやJuniperの主力製品でIPルーティングコードの開発に助力したことで有名な人物だが、彼はProcketでインターネットおよびルーティング技術の開発に携わった。
Procketが1年以上前に製品を発売して以来、同社が獲得した顧客はわずか数社で、そのほとんどが大学や小規模な通信会社だった。顧客のなかで、最も名が通っているのは日本のNTTだが、同社ではProcket以外にCiscoやJuniperの機器も使用している。Procketは北米市場ではいまだ、大型契約の獲得を発表していない。
同社はこれまでに、一連の経営陣交代も経験してきた。昨年夏には元最高経営責任者(CEO)のRandall Kruepが同社を離れ、またごく最近では、ルーティングソフトウェア業界の権威とされているLiが同社を去っていた。
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