Microsoftは、欧州委員会が3月に下した裁定に関し、その執行を阻止する緊急命令を発するよう、数日以内にも欧州の法廷に請求する予定だ。この裁定が実施に移されると、同社は多額の罰金を支払わなければならなくなり、またメディアプレイヤー未搭載のWindows提供も求められることになる。
Microsoftは、6億400万ドルの罰金とメディアプレイヤー未搭載版Windowsの提供という欧州委員会の要求破棄を求めた、100ページに及ぶ申請書を第一審法廷にすでに提出している。
Microsoftの広報担当、Jim Deslerは米国時間24日、近日中に提出する請願書では、上訴審理中の判決の執行猶予を求めていく、と話している。
「今週末か来週初めまでには、欧州委員会の裁定と是正措置の一時停止を求める正式な申請書を提出する」(Desler)
欧州の司法システムで上から2番目の階層に位置する第一審法廷は、裁定の執行猶予を求めるMicrosoftの申請に関する聴聞会を、2カ月以内に開く見通しだ。
この執行猶予が認められなければ、欧州委員会が定めた期限が過ぎるため、裁定が効力を発揮し始めてしまう。欧州委員会が3月24日に下した裁定では、90日以内にメディアプレイヤーをバンドルしないオペレーティングシステムを用意し、また120日以内にはライバル各社に対してサーバ関連の独自情報の公開を行うようMicrosoftに求めている。
ベルギーのブリュッセルにあるDLA法律事務所所属の弁護士で、独禁法違反を専門にするFrank Fineは今月初め、ヨーロッパの最高裁が下した裁定などを考慮すると、Microsoftの執行猶予獲得には課題がある、と話している。
「Microsoftが執行猶予を勝ち取るのは容易ではない。同社には、これらの暫定措置が実施された場合に修復至難な損害を被ることを証明する義務が生じてくる。これらの措置に従わざるを得なくなってMicrosoftが倒産することは考え難い」(Fine)
さらに、Microsoftに敵対する重要な人物が第一審法廷で証言に立つ計画を発表している。
Computer and Communications Industry Association(CCIA)会長のEd Blackは、同氏の団体が同裁判への第三者参加申請書類を提出したことを明らかにした。CCIAの請求が認められれば、同団体はこの機会を使って、欧州委員会の裁定に対する執行猶予を求めるMicrosoftの請願を論駁できることになる。
「われわれには経済と技術に関して豊富な洞察力や専門知識がある。また過去10年に渡るこの分野の背景知識もたくさんある」(Black)
CCIAにはMicrosoftのライバルにあたるSun MicrosystemsやYahoo、Red Hat、Oracleの各社がメンバーとして参加しており、3月にはMicrosoftに対して罰金を科すとした欧州委員会の決定を称賛していた。米国での独禁法違反をめぐる訴訟では、CCIAはMicrosftの分割を求めたが結局失敗に終わっている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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