欧州の規制当局が発表した報告書によると、Microsoftが先月、欧州史上最高額となる制裁金を課されたのは、同社が長年にわたって企業間競争を阻害する行動を取ってきたことが原因という。
欧州委員会(EC)が発表した300ページに及ぶこの文書によると、Microsoftに対する制裁金額が、本来同社の商行為に対して課されるべき金額を大幅に上回る4億9700万ユーロ(およそ5億9000万ドル)にまで押し上げられた理由は、同社がそのような商行為を5年間も続けていたことにあるという。
同文書には「制裁金は違反行為の重大性に基づいて課されるものだ。よって(Microsoftに対する)制裁金は、同社が違反行為を継続した期間を考慮すれば50%加算されるべきである。以上の考えに基づいて、同社に対する制裁金を算出すると、基礎となる金額は4億9719万6304ユーロになる」と記されている。
同報告書には、欧州15カ国で構成される欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会が実施した、Microsoftのソフトウェア販売手法についての調査結果が詳しく説明されている。規制当局が3月に制裁金の決定を発表して以来、同報告書の発表が待たれていた。同委員会は、Microsoftがサーバソフトウェア市場での公正な競争に必要な情報をライバル各社に提供せず、またWindowsを提供する際にWindows Media Playerのバンドルを条件として、競争を妨げたと判断した。
同委員会は、22日の勤務時間終了時に同報告書を公表した。同報告書に記されている調査結果の一部は、経済紙「Wall Street Journal」のオンライン版で最初に発表された。
一般公開前に同報告書に目を通していたMicrosoftは、これに応える形で7ページからなる文書を自社のウェブサイトに掲載し、同社は欧州規制当局の行き過ぎた取り締まりの犠牲者だと訴えた。また同文書の中で同社は、ECが3月に下した判断を「新しい法律」と呼び、この判断によって将来損害が発生する可能性があり、またこの判断は法的欠陥を抱えていると主張した。
Microsoftの文書に対するECの反応はそっけないものだった。
EUの広報担当Amelia Torresは22日、「これは欧州委員会が下した決定だ。われわれは、マスコミに対してではなく法廷でこの決定について説明する」と語った。
Microsoftは規制当局が概要を説明した改善策について控訴する意向で、これにより両者の戦いの場は欧州第一審裁判所に移ることになる。
Microsoftの広報担当Jim Deslerは「(同社ウェブサイト上の)文書でも指摘している通り、ECの決定によって技術革新が阻害され、消費者やIT業界など幅広い分野に悪影響が及ぶ」と述べた。また同社は、制裁金の額が高すぎると主張している。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」