IBMのBlue Gene、次回は首位奪取か
これまで3台が売れているIBMのBlue Gene/Lシステムは、同社のPowerプロセッサの変種を採用した異例の設計となっている。同システムが搭載する各チップはすべてデュアルコアで、また各プロセッサには5つの異なるネットワークとデータをやりとりできる通信回路が内蔵されている。このことから、同システムは全プロセッサをリンクするために高価なスイッチを別に用意する必要がなく、しかもプロセッサの数が倍増した結果、システム全体の性能もほぼ2倍になっていると、IBMのDeep Computingグループでディレクタを務めるBill Pulleyblankは述べている。
IBMの2つのマシンのうち、4位にランクインしたシステムは、500MHzで動作するチップを8192基搭載し、13.8テラフロップの処理性能を誇る。また8位にランクインしたシステムは700MHzのチップを4096基搭載し、8.7テラフロップの性能を叩き出す。後者の積むチップは、今年秋にローレンスリバモア国立研究所で構築が始まるBlue Gene/Lにも採用されることになっている。
このリバモア研究所のシステムが、11月に発表予定の次回のランキングで首位を奪うことになりそうだと、Deep ComputingチームのリーダーであるDave Turekは述べている。同氏は、地球シミュレータを擁する日本に、米国が支配的な地位を明け渡したとする政府の危惧を一笑に付した。
同氏が余裕を見せる理由の1つは、IBMのマシンのコンパクトさにある。4位につけたプロトタイプのサイズは冷蔵庫8個分程度だが、これに対して地球シミュレータは、処理速度こそ3倍高速であるものの、縦71ヤード・横55ヤードの部屋をまるごと占拠するほど大きい。
IBMではいずれ、Blue Gene/Lの製品化を進める計画だが、まだ作業は始まっていない。「Blue Geneが研究プロジェクトから主流の製品に移行するタイミングについては、まだはっきりといえる段階にはない。それでも間もなく明らかにできるようになるだろう」(Turek)
IBMはまた、 Blue Gene/Cという別のシステムの設計にも取り組んでいる。 Pulleyblankは、このマシンに現在のものよりも多くのプロセッサを積むチップを搭載することを認めただけで、その他の詳細については明らかにしなかった。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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