中国製の「Dawning 4000A」というスーパーコンピュータが、間もなく更新される最速コンピュータ・ランキングで上位に登場すると見られているが、これは高性能コンピューティングに対する新しいアプローチの持つ地政学的な影響を浮き彫りにしたものだ。
Dawning Information Industryという、PCからスーパーコンピュータまであらゆる製品を手がける中国のメーカーが、中国の研究機関や企業向けに、このDawning 4000Aを構築している。同システムには、Advanced Micro Devices(AMD)のOpteronプロセッサが2000基以上使われている。世界のスーパーコンピュータをランク付けしたトップ500のリストは、6月22日に最新版が発表されるが、Dawning 4000Aはこのリストで上位にランクインしそうだ。
「Dawningでは同システムが上位15位以内に食い込むと予想している」と、AMDの高性能コンピューティング部門でマーケティング担当マネージャーを務めるGuy Luddenは述べている。
AMDが2003年にDawning 4000Aを発表した際、その動作速度は10テラフロップ(1秒間に10兆の計算が可能)を上回るとしていた。最新のTop500スパコンリストによれば、10テラフロップ以上の性能を持つシステムは現在3台しかない。ただし、今月更新される同リストでは、10テラフロップ超のシステムがさらに増えると見られている。
優れたスーパーコンピュータ技術を持つ米国のような国々では、核兵器設計や通信用暗号解読へ転用されることをおそれて、高性能計算技術の輸出を長い間制限し続けてきた。だが、新しいアプローチ--数多くのローエンドのLinuxシステムを高速ネットワークで接続した、高性能コンピュータクラスタが登場したことにより、広く普及するごく普通の技術を使って、スーパーコンピュータをつくれるようになってしまった。
この新しいアプローチが、Top500リストのランキングに大きな変化をもたらしている。このリストは年2回更新されているが、6月22日から始まるInternational Supercomputer Conference(ISC2004)に合わせて発表予定の次のランキングでは、大幅な順位の変更があると見られている。
35.8テラフロップの速度を持つNECのEarth Simulatorは、2002年6月以来、同ランキングで首位を守ってきている。しかし、今年11月の同リスト更新時には、サンディア国立研究所で稼働するCrayの「Red Storm」がその座を奪うことになるかもしれない。Crayのこのシステムは、40テラプロップの動作速度になると見られている。
6月更新のリストで上位に入りそうなのは、California Digitalがローレンス・リバモア国立研究所に納入した「Thunder」で、Itanium 2プロセッサを4000基以上を使用したこのシステムは、すでに19.9テラフロップの速度を叩き出している。
また、ロスアラモス国立研究所にあるLinux Networx製の「Lightning」というクラスタシステムも、10テラフロップを超えると見られている。
オークリッジ国立研究所では、従来型の設計手法を用いたCray製のシステムが構築される予定だが、こちらは50テラフロップに達すると見られている。さらに、ローレンス・リバモア研究所で導入を予定しているIBMの Blue Gene/Lを使ったクラスタは、2005年に360テラフロップの速度に達するという。製造元のIBMでは、このシステムが必ず世界最速になると自信を示している。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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