IBMの投資戦略--資金力より人的リソースで新興企業を支援

Martin LaMonica(CNET News.com)2004年06月04日 19時28分

 IBMは、資金力ではなく人的リソースでIT新興企業を支援している。

 IBMはかつてベンチャー企業に投資をしていたが、最近では企業を完全買収したり、ベンチャーキャピタルや新興企業と提携したりする方に重点を置くようになったとIBM幹部が米国時間3日に述べた。IBMは、ベンチャーキャピタリストや投資先新興企業を積極的に取り込むためのプログラムを3年ほど前に発足しており、このプログラムの現在の進捗状況を、IBM関係者や提携先企業がIBMのテスティングセンターで行われた会議で報告した。

 これは、独立系のソフトウェアンダーが製品を販売する際に、IBMのソフトウェアインフラやハードウェア、コンサルティングサービスを合わせて販売する仕組みをつくるための、大々的な提携戦略の一部だと同社は説明している。また、IBMとベンチャーキャピタリストの間で確立されている協力関係により、同社は新しい技術のトレンドを見極めることができる。

 南北アメリカのベンチャー振興を担当するIBM幹部のMatt Dorettiは、「IBMは、技術革新を求め、社外に目を向けることにこれまで以上に力を入れている」と述べた。

 だからといってIBMは新興企業に直接投資するのではなく、販売支援や専門家グループへのアクセス提供といった、提携関係をベースにしたリソースを提供する。RulesPowerという、業務プロセス管理を専門に扱う企業も、IBMのテレコミュニケーションコンサルタントの支援を受けた。RulesPowerの最高経営責任者(CEO)Stephen Campbellによれば、同社はこの支援により、業界内のあるプロジェクトを勝ち取ったという。IBMはまた、RulesPowerのワークフローアプリケーションを組み込んだバンドル製品群を構成するために、ハードウェアやソフトウェアの価格を積極的に下げるという。

 RulesPowerは限られた資源を、様々な製品と統合できるように自社ソフトウェアを開発する作業にあてることを避け、IBMのJavaアプリケーションWebSphereに特化したソフトウェアを開発することに決めた。「初期段階において、われわれの核となる競争力は技術とルール付けであって、統合ではないと考えた」(Campbell)

 ベンチャーキャピタル会社Battery VenturesのゼネラルパートナーScott Tobinは、資金や製品販売経路の確保がかつてないほど困難になっているため、資金力のあるパートナーをみつけることがますます重要になってきていると語り、「企業は、資金を集めるためにこれまで以上に努力しなければならない」と述べた。

この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。

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