最初のターゲットは防衛とビルディングオートメーション、産業設備
ワイヤレスセンサーネットワークの研究には、トップレベルの頭脳集団が取り組んでいるにも関わらず、これらの研究はここ数年コストや技術面での障害により、概ね実験の域を出ることはなかった。DustやCrossbowなどの企業は主に、すぐ手の届きそうな3つの市場への進出に狙いを定めている。それは、防衛とビルディングオートメーション、そして産業設備の分野だ。
エアコンや照明、セキュリティシステムについているセンサーにワイヤレスネットワーク機器を取り付ける形ならば、ビルはより安全で快適になる上、建築やメンテナンスのコストも安くなるだろう、とDust NetworksのConantは言う。
Conantは、ビルディングオートメーションには、既にセンサーが大量に導入されているので、この技術にうってつけだと言う。「moteを追加するだけで、どんなセンサーもワイヤレスセンサーになる。スタンドアロンのパソコンを、ネットワークに接続するのに似ている」(Conant)
防衛分野では、戦場や戦闘人員、装備といった情報の収集が主目的となる。また石油産業や化学産業など設備集約的な産業では、施設を監視したり、パイプラインの亀裂といった設備の損傷・老朽を検知したりするのに、この技術が役立つだろう。
産業用パイプ暖房を販売するTyco Thermal Controlsでは、ワイヤレスセンサーネットワークによって温度監視装置の導入コストが節約できると期待している。同社では、高価でメンテナンスが大変な配線をEmberのワイヤレスシステムに置き換え、石油精製施設や化学工場に既に導入している設備とこれを統合する計画だ。
「有毒な環境のため、配線は非常に高価になってしまう。ワイヤレス化は自然な発想だ」とTyco Tharmalのエレクトロニクス部門ゼネラルマネージャーKen McCoyは述べている。同社はまだ、ワイヤレスセンサーネットワーク技術をテストしている段階で、実際に顧客の現場に導入した事例はない。
大きな間違い
商業的な成功になかなかつながらないことから、将来有望とされていたベンチャーの1つ、Graviton(サンディエゴ)は早々に事業を畳んでしまった。
同社は会社が存続した5年の間に、6000万ドル以上のベンチャー資本集めに成功し、同社への主な出資者にはKleiner Perkins Caufield & ByersやCIAのベンチャー資本部門(In-Q-Tel)、それにRoyal Dutch/Shell Groupなどの有名企業らが名を連ねていた。Gravitonの資産は昨年、Xsilogyという会社に売却された。売却額は公表されていないが、Gravitonの創業者Michael Novaによると、同社が買い手から受け取ったのはたったの100万ドルだったという。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
地味ながら負荷の高い議事録作成作業に衝撃
使って納得「自動議事録作成マシン」の実力
日本のインターステラテクノロジズが挑む
「世界初」の衛星通信ビジネス
NTT Comのオープンイノベーション
「ExTorch」5年間の軌跡
先端分野に挑み続けるセックが語る
チャレンジする企業風土と人材のつくり方
すべての業務を革新する
NPUを搭載したレノボAIパソコンの実力