NovaはGraviton倒産の1年半前に、経営陣の交代によって同社を離れている。Novaは、Gravitonのビジネスモデルは間違っていたとし、現在市場に残っている企業も、ビジネスモデル上の問題を抱えていると警告している。Gravitonのケースでは、同社は多くのことを手がけようとしすぎたと同氏は指摘する。Gravitonはセンサーデバイスやネットワーク設備だけでなく、導入サービスやデータ処理・レポートサービスなども提供しようとしていたのだ。
「トータルソリューションを販売しようとしたのが間違いだった。やりたいことがたくさんありすぎたのだ」(Nova)
DustやEmberなど現在も市場に残っている企業は、センサーやそれを接続するネットワーク機器など、サービスを実現するための設備に的を絞っている。実際、Emberが製造しているのはネットワークコンポーネントのみで、センサーは全く生産していない。
コスト面やバッテリーなどに課題
ワイヤレスセンサーネットワークが一般に広く普及するためには、moteのコストやサイズ、エネルギー効率などの問題も存在する。moteは1個約50〜80ドルもするため、出資者らが思い描いているようなアプリケーションの多くで利用すると、現段階ではまだコストが高くなりすぎてしまう。しかし今後5年くらいの間には、moteの価格は1個1ドル程度にまで値下がりすると研究者らは期待している。
また、センサーの多くはバッテリーで稼動するため、ユーザーが頻繁にバッテリーを交換しなければならない場合、メンテナンスが面倒だ。Dust Networksではセンサーにバッテリー電源を採用しているが、デバイスのバッテリーが5〜10年間持つような設計を考案した。ゆくゆくは、デバイスの電源に太陽エネルギーや運動エネルギーを利用したいと開発者らは考えている。
「もちろん、もっと改善できるし、時間とともに改善されていくだろう」(Connant)
このほかにも、運用や通信上の標準を策定したり、センサーから送られてくる膨大なデータをフィルタリング・解析するツールを開発する必要もあるだろう。
Institute of Electrical and Electronics Engineers(IEEE)では、センサーネットワークのためのワイヤレス通信プロトコルを定めるワーキンググループを結成し、802.15.4規格の策定に取り組んでいる。
一方、カリフォルニア大学バークレー校で開発されたオープンソースプログラム「TinyOS」は、こうしたデバイス用のOSとして人気を集めている。
アナリストらは、障害は時間が経つにつれて克服されていくはずだと自信満々だ。また彼らだけでなく、軍部や、HoneywellやGeneral Electricなどの産業機器メーカーらも、すでに何百もの実験プロジェクトを始動させている、とHarbor Research社長のGlen Allmendingerは述べている。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
OMO戦略や小売DXの実現へ
顧客満足度を高めるデータ活用5つの打ち手
パナソニックのV2H蓄電システムで創る
エコなのに快適な未来の住宅環境
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
企業や自治体、教育機関で再び注目を集める
身近なメタバース活用を実現する