BEA Systemsを代表する技術の権威が、同社内で進められている「universal client platform」構築プロジェクトをデモンストレーションした。このプラットフォームは、モバイル用アプリケーションの機能性を高め、ウェブアプリケーションをデスクトップで利用する場合と同等にする狙いで考えられたものだ。
BEAのチーフアーキテクト、Adam Bosworthは、サンフランシスコで同社が開催中の「eWorld」カスタマーカンファレンスで講演を行った。そのなかでBosworthは、「Alchemy」と呼ばれるBEAのこの計画について、ユーザーがワイヤレスネットワークに接続しているか否かを気にせず作業を続けられるような、ウェブアプリケーションのソフトウェア基盤を提供するものだと説明した。
Alchemyソフトウェアはまだ試作品段階だが、BEAはNokiaやIntelなどの各社と提携してこの開発を進めている。Boswrothによると、BEAはAlchemyの開発に拡張マークアップ言語(XML)やスクリプト言語から派生したプロトコルなどの既存の業界標準を利用し、ソフトウェアをオープンソースにしていく意向だという。
BEAはAlchemyによって、携帯端末上で動作するアプリケーションの構築や管理に伴う難しさを解決しようとしている。Bosworthは、この計画について、開発者が従来のウェブツールを使ってウェブアプリケーションを構築できるようにし、またユーザーがオンライン・オフラインに関わりなく同じプログラムで作業を続けられるようにして、接続が断続的に途切れるワイヤレス環境に適応できるようにするのが目的だと述べた。
Alchemyは、クライアントとなる機器上にデータを保存し、再びオンライン状態になったときにサーバとデータを同期するソフトウェアなど、いくつかのコンポーネントで構成されている。Alchemyのサーバコンポーネントは、ウェブクライアントからのリクエストを処理し、他のソースからの情報を取得する。このソフトウェアは、既存のウェブブラウザで機能するよう設計されている。
モバイル開発ツールやいわゆるリッチクライアント(従来型のデスクトップアプリケーションのようなグラフィカルインターフェースを備えたウェブベースのアプリケーション)に関する製品を発売している企業はいくつかある。ウェブサーバから送られる情報に依存しているブラウザベースのアプリケーションでは、デスクトップPCでローカルに処理される場合など、状況によっては制約が生じてしまう。モバイル用のウェブアプリケーションも一般に表示が貧弱で、ネットワークアクセスが断続的に途切れる場合には処理がうまくいかず、またその構築には特別なツールが必要になるとBosworthは指摘する。
BEAのリッチクライアント計画は、Eclipseソフトウェアを採用するIBMのWorkplaceや、次のWindows LonghornバージョンでブラウザとOSの境界を曖昧化しようとしているMicrosoftに対する挑戦だ。BEAでは標準や既存の開発ツールをベースとするアプローチを取っている点がIBMやMicrosoftとは異なると、リサーチ会社RedMonkのアナリストJames Governorは述べている。
「Eclipseのリッチクライアントは既存の技術に置き換わることを狙いとしたものだが、IT業界内ではAlchemyのような、既存の技術を拡張したもののほうが力を得ている」とGovernorは述べた。Alchemyはまた、Windowsベースのデスクトップ用ソフトを擁するMicrosoftに対して有効な防御策となる、と同氏は指摘した。
Alchemyではさらに、ビジネス用のウェブアプリケーションを簡単に手直しできるようにし、PC用と携帯端末用に別々のバージョンをつくらなくてもいいようにする狙いもあるとBosworthはいう。同氏は基調講演のなかで、BEAが開発を進めるツール類は、アプリケーション開発者の生産性を高める目的以外に、非プログラマーでも簡単にビジネスアプリケーションの変更・修正・サポートできるようすることも念頭に置いた設計になっていると語った。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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