ニューヨーク発--よそからコンピュータシステムを借りて自社のビジネスソフトを運用することがますます人気を集めているなか、Siebel Systemsはこの新しい現実に適応しようとしている。
Siebelは、企業が顧客の購入傾向、販売員の実績、電話によるサポートラインの待ち時間などの詳細情報を追跡できる、CRM(Customer Relationship Management)ソフトウェアを販売している。同社はパッケージソフトウェアを販売してCRM市場の首位に立っているが、ソフトウェアをホストし、単にアクセス権だけを販売するSalesforce.comのようなベンダーとの競争に直面している。
Salesforceのビジネスモデルには、企業が自社独自のCRMソフトウェアをインストールすることに伴う煩雑さをなくし、時間や費用を抑えられるという利点がある。そして、Siebelは今後も引き続きソフトウェアパッケージを販売していくが、同時に自社でソフトウェアをホストし、それを顧客に貸し出す戦略も採用するつもりだと、同社エグゼクティブバイスプレジデントのDavid Schmaierは、当地で開催されたCeBit Americaショーで語った。
「わが社のSiebel OnDemandのような、CRMのホスティングサービスに対する需要が高まっている。昨年時点で230億ドルという規模を持つCRM市場全体から見れば、5億ドルというホスティング市場は比較的小さなものだが、しかし急速に成長している」と、Schmaieは基調講演のなかで述べた。
Siebelは、特定のCRMシステムを自社内で運用している顧客に、他の分野でSiebelのホスティングサービスを利用させるという複合型アプローチをとることで、純粋にホスティングサービスだけを提供しているCRMベンダーの一歩先を行きたいと考えていると、Schmaierは述べた。「さまざまなシステムを組み合わせて利用でき、必要とする機能が増えた場合には、ホスティングサービスから社内システムにアップグレードすることもできるという。
CRMは、今年のCeBitのテーマの1つだ。Siebelの他にも、PeopleSoftやMicrosoft、そしてEpicorという小規模CRMホスティングベンダーなどが出展している。
Siebel創業者で前最高経営責任者(CEO)のTom Siebelは、CeBit Americaで講演する予定だったが、直前になってキャンセルした。
新たな現実 Siebelは絶妙なタイミングで新たな方向に動き出したのかもしれない。市場調査企業のIDCが米国時間25日に発表したレポートによると、従来の販売手法--つまり、Siebelがこれまで行ってきたような、ソフトウェアパッケージに対する永久利用ライセンスを提供するというやり方は、衰退傾向にあるという。これに代わって今後伸びるのが、ソフトウェアをサブスクリプション形式で販売する手法で、Salesforceはその一例だ。
IDCは、サブスクリプション形式のライセンスを販売するソフトウェアの売上は、2003年から2008年にかけて毎年16.6%ずつ成長し430億ドルに達するが、従来の永久ライセンスのほうは毎年0.3%ずつ減少していくと予測している。
IDCによると、サブスクリプション形式でのソフトウェアの販売は、ベンダーと利用者の両方に利益をもたらすという。
「サブスクリプション形式のライセンス販売によって、ベンダーは製品の売上をより正確に予測でき、将来の見通しを把握しやすくなる。また、利用者の側でも先行投資が少なくて済み、ベンダーに対し継続的に支払いを行うことで持続的な関係を築いていけるため、これを歓迎している」と、IDCのAmy Konary(価格、ライセンス、デリバリーサービスに関するプログラム担当)は声明のなかで述べている。
特に中小規模の顧客企業は、ホスティングサービスを選ぶ傾向があると、SiebelのSchmaierはいう。このサービスは徐々に高度な機能を備えるようになっており、ますます手の込んだ「分析能力」--つまり、顧客情報のなかから役に立つトレンドを抽出する能力を提供するようになった。
この分析能力や、それとよく似たビジネスインテリジェンスは、CRMの売上が伸びている主な理由だと、Schmaierは述べた。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」