Siebel SystemsのTom Siebelが、最高経営責任者(CEO)の職を辞した。同氏は1990年代にSiebel Systemsを創業し、その後同社を数十億ドルもの規模を持つ顧客管理(CRM)ソフトウェア市場を代表する企業に育て上げた人物だ。
同社は米国時間3日、Tom Siebelが会長職に留まり、また後任のCEOとしてIBMの元幹部Mike Lawrieを迎え入れたことを発表した。LawrieはこれまでIBMで26年間働いてきた人物で、同日退社するまでは、IBMのシニアバイスプレジデント兼セールス/ディストリビューション部門グループエグゼクティブの職にあった。
Tom Siebelは、電話会議のなかで、今回の人事は長い間考えてきたことだと語った。
「会長とCEOの職務を分離しようと決めたのは、1年前のことだった。さんざん考えた結果、これが会社にとって正しい答えだと確信した。会社にとって、これ以上良い結論は思いつかない」(Tom Siebel)
業界観測筋のなかには、今回の人事について、同社が社外からCEOを招き入れたこと、また会社の顔であったTom Siebelが、CEOのような実務的な仕事を放棄したことに驚きを示した者もいる。
一方、ある競合他社では、近年Siebelの業績が落ちていることに不満を募らせた同社の投資家が、経営幹部の入れ替えを求めた可能性があると指摘している。「Tom Siebelには、すさまじいプレッシャーがかかっていた」と、Salesforce CEOのMarc Benioffはいう。同氏は何年も前、SiebelとともにOracleでEllisonの部下として働いた経験がある。
Siebelは、財政的に苦しい状態から抜け出しつつあるようだ。最近同社は第1四半期の決算を発表し、利益が前年同期比6倍の伸びを示したことや、ソフトウェアの売上が二桁成長したことを報告した。しかし、それまで同社は収益の低迷が3年間も続き、リストラを実施して1000人もの従業員を解雇していた。
Tom Siebelは1990年代に、自分の指揮下で会社を急成長させた。しかし同氏は、IT業界の景気後退が始まった際、自社製品の需要が落ち込むことを読み切れず、苦しい立場に置かれることとなった。また、同社は2回に渡って規制当局の捜査対象になったほか(そのうちの1件は現在も捜査が続けられている)、株主から何度も告訴されている。同社が栄光から転落するなかで、株主が起こした最も大きな訴訟の一つは、経営幹部の報酬制度に関するもので、同社の幹部には気前よくストックオプションが与えられていた。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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