ソニーは5月19日、2004年度の経営方針説明会を開催した。昨年10月に発表された経営方針「トランスフォーメーション60」に従って構造改革を進め、連結営業利益率10%(金融事業を除く)への基礎固めを行うという。
説明に立ったソニー代表取締役会長兼グループCEOの出井伸之氏はまず、2003年度の状況について「大胆にやるべきことはしっかりやった年」と評価した。1681億円の費用をかけて構造改革を進めたことで、2004年度には年間880億円の固定費削減効果が期待できるという。
ソニー代表取締役会長兼グループCEOの出井伸之氏 |
2004年度は引き続き構造改革を進めるとともに、エレクトロニクスの融合を推し進め、商品力の強化を図る。特に差別化の核となる半導体やキーデバイスへの投資を継続して行う。
また、物流を含めてサプライチェーンを強化する。ソニーは製品の組み立てを中国やメキシコ、東欧などマーケットに近いところで行っているものの、半導体などの生産は日本で行っている。このため、全体の53%は日本国内で生産しているという。SCM関連のシステム投資を積極的に行い、全体のオペレーション向上を図る方針だ。
「2004年度は派手なことをせずに、足下をしっかり固めて経営を行っていく」(出井氏)
「2006年は大変化の年に」
出井氏は今後、ソニーを取り巻く環境が大幅に変化すると予測する。「2006年はエレクトロニクスやメディアの分野で非常に大きな変化が起きる臨界点になる」(同氏)
現在起こっている一番大きな変化として出井氏が挙げたのは、個人へのパワーシフトだ。「ネットワークが普及し、情報格差もなくなっている。これからは画一的なマスプロダクションは通用しない。個人が(商品を)選択する基準が変わるだろう。大企業のあり方、技術のあり方、顧客との接し方、宣伝効果のあり方などすべてが変わる。10年前に比べて考えられないほどソニーを取り巻く環境は変わっており、現在の延長線上ではいけない」(出井氏)
そのうえで「守りと攻めのリストラをしっかりと行うことで、2006年に来る大変化にしっかり対処していきたい」(出井氏)とした。
「ソニーであるが故の技術をすべて投入」したPSP
PSPを手に説明するソニー執行役 副社長 兼 COOの久夛良木健氏 |
会場では先日米国のゲーム見本市「Electronic Entertainment Expo 2004(E3 2004)」で発表されたPSPも紹介された。ソニー執行役 副社長 兼 COOの久夛良木健氏はPSPについて、「ソニーがソニーであるがゆえの技術をすべて投入した」と自信を見せる。
「ソニーのデバイスを利用して、可能な限りの差別化と付加価値をつけ、量産性やコスト面でも欲張った」(久夛良木氏)。PSPは日本で2004年末に販売される予定で、プレイステーションに次ぐソニー・コンピュータエンタテインメントの柱として育てたいと意気込みを語った。
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