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日本IBMがPower5を搭載したiSeriesを発表

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 日本IBMは5月10日、3月に発表されたばかりのIBMの最新CPUであるPower5を搭載した「IBM eServer i5」を発表した。同製品は、従来までiSeriesの名称で呼ばれていたものを改称したもので、6月11日より順次出荷される予定だ。

 iSeriesは、IBM版オフコンとしてベストセラーとなっているAS/400の流れをくむサーバ製品である。iSeriesではAS/400でのアプリケーション資産を継承しつつ、LPARと呼ばれるパーティショニング機能により、iSeriesの同一ハードウェア内でOS/400(AS/400のOS)以外にLinuxの動作も可能になっており、IBMのUnixであるAIX L5の近日中でのサポートも表明していた。外部のWindowsサーバとのディスクの共有化や管理機能も搭載しており、1つのハードウェアで各種プラットフォームをカバーできるシステム統合(Integrated)ソリューションとしてIBMが売り出していたものだ。

 今回、IBMはPower5搭載を機に、サーバの名称をeServer i5に変更し、モデル520と570の新製品ラインを発表した。また、OSの名称もOS/400からi5/OSに変更し、機能強化を図っている。強化された主なポイントは、システムの仮想化を実現するPOWER HypervisorをPower5向けに改良することで、ソフトウェアコードをハードウェアレベルでネイティブに実行することが可能になった。これにより、以前より表明されていたAIX L5のネイティブサポートが実現されている。また、Intelのx86プロセッサベースのLinuxコードも実行できるようになっている。IBMでは、外部のWindowsサーバやLinuxサーバを統合する仮想LAN、仮想I/O機能も含めた仮想化(ヴァーチャライゼーション)機能を「IBM Virtualization Engine」と呼んでおり、バックアップやストレージの統合ならびに、システムの一元管理を実現して管理コスト削減を実現するとアピールしている。

日本IBM理事でiSeries製品事業部を率いる花井貢氏。IBMの自信作Power5を搭載したi5の強化された統合機能をアピールする

 また、Power5を搭載したことで、システム性能が従来の倍近く上昇したという。今回採用されたのはPower5の1.65GHz版だが、従来のPower4での1.1〜1.3GHzに比べクロックが上昇している以外に、Power5ではデュアルコアをスレッド動作対応させるSMT(Simultaneous Multi-Threading)技術をサポートすることで、スレッド対応アプリケーションの実行性能の大幅アップを実現しており、結果としてシステムパフォーマンス向上に寄与しているという。Powerプロセッサを搭載するIBMのサーバ製品には、UnixサーバのpSeriesと、今回発表が行われたiSeriesの2種類があるが、「Power5アーキテクチャを活かせるプラットフォームとして、まずiSeriesでのPower5搭載が先行した」と日本IBM理事でiSeries事業部長の花井 貢氏は説明する。

 今回発表されたi5の新製品は、大規模向けのモデル570と中小規模向けのモデル520の2種類だ。570では、LPAR上での各パーティションのCPU使用率のトータルが100%に達したとしても、あらかじめ購入しておいた予備のCPUを自動的に割り当てるCoD(Capacity on Demand)機能に対応し、電子商取引などでの急なトラフィック上昇でも耐えられるようになっている。570では最大16ウェイのマルチプロセッシングに対応する。一方の520では1〜2ウェイに対応し、タワー型筐体(通常はラック型)のサポートなど、中小企業などでの導入のしやすさに重点を置いたモデルとなっている。

 ニューヨークで3月末にPower5が正式発表されてから、今回のi5がIBMからの最初の対応製品となるが、「SunやHP、Intelなどに対抗できる製品としてアピールしていきたい」と前出の花井氏は自信を見せる。Power5の特徴的な機能に、コア内部においてあるタイミングで使用されていない部分については一時的に電力供給をカットするという省電力機能がある。先日は、米Intelが2004年後半にリリース予定だったPrescottの後継プロセッサのキャンセルを発表したが、この現象に見られるように、半導体製造プロセスの微細化とともに増加するリーク電流と、それとともに上昇する発熱は半導体業界にとって頭の痛い問題となっている。業界の巨人Intelでさえも、発熱量増加の壁にあたったことから、単一プロセッサコアからデュアル(マルチ)コアでの総合的な処理能力向上へと方針を切り替えている。そのなかで、早くからマルチコアに着目し、省電力化に取り組んでいるIBMのPowerプロセッサは、プロセッサ業界で大きな勢力に成長する可能性を秘めているといえるだろう。

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