IBMは3日(米国時間)、期待が高まっているPower5サーバシリーズを正式に発表した。
このサーバシリーズは、IBMの新しいPower5プロセッサを採用した第1世代の製品となる。Power5は、IntelやSun Microsystems、Hewlett-Packard(HP)などから出ているハイエンドチップとの競争を意識した64ビットチップだ。IBMは、同一ハードウェアを使用し、オペレーティングシステム(OS)などのソフトウェアだけで差別化していた2つのサーバ製品シリーズ、iSeriesとpSeriesの統合を図ってきたが、Power5搭載サーバの発売は、この統合の最終ステップと考えられている。
IBMは、Power5サーバの正式な発売が6月11日になると述べ、同プロセッサを1基もしくは2基搭載した「i5 520」と、1基〜4基搭載の「i5 570」という2つのモデルが用意されるとしている。
i5 520のエントリーレベルバージョンは9995ドル。一方、i5 570の価格は85200ドルからとなっている。
この新サーバは中小企業向けで、IBMのOS/400オペレーティングシステムの最新バージョンにあたるi5/OSが動作する。新サーバは、IBMのWebSphereやDB2のほか、SAPを始めとするサードパーティ企業のパッケージなど、多数のソフトウェアを事前に組み込んだ システムを求める顧客にアピールするよう考えられている。たとえば、eコマース用のWebSphereソフトウェアとDB2を含んだi5 520モデルの価格は、1万1500ドルだ。
「IBMは顧客に対するバリューの提供を隠れ蓑にしているが、これは実質的にIntelやDell、Microsoft、Oracle等の競合に対する宣戦布告だ」とRedMonkアナリストのJames Governorは指摘。同氏によれば、IBMはライバル各社と直接戦うために必要なコンポーネントを、ハード/ソフトともすべて自社でまかなえることから、同社は効果的に戦いを進められるという。
今回発表された2つのモデルは、IBMの「Squadron」サーバ戦略の第1ステップとなる。このシリーズには、2つの命令を同時に実行できるプロセッサを64基も搭載したモデルも今後登場する予定だ。またIBMは、第3四半期に最大4プロセッサ搭載のミッドレンジサーバ「i5 550」を発売すると見られている。さらに同じ時期に、i5 570で使用されている4プロセッサモジュールが、16プロセッサに切り替えられる予定だ。
IBMの新サーバ投入により、同社のライバルらは中規模企業向け市場で激戦を強いられることになるだろう。しかし同社と接戦している競合各社は、自社の新技術に賭けている。Sunは、UltraSparc IVチップ搭載のSolaris OSで走る新サーバで、IBMに奪われた市場シェアの奪回を目論んでいる。またHPは、Intelと共同でサーバ用プロセッサItaniumの開発に取り組んできており、自社版のUnixであるHP-UXに加え、LinuxやWindowsも動かせるサーバを販売している。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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