松下電器産業は28日、2003年度の決算を発表した。同社は2月に通期業績予想を上方修正していたが、これをさらに上回る結果となり、「営業利益については、IT景気のピークだった2000年レベルを上回った」と、同社代表取締役社長の中村邦夫氏はいう。
松下電器の連結業績は、売上高が7兆4797億円(前年比101%)、営業利益が1955億円(同154%)、税引前利益が1708億円(同248%)、純利益は421億円。売上高のうち、国内の売上は3兆4775億円、海外の売上は4兆22億円となった。セグメント別に見た売上高は、PDPテレビやDVDレコーダー、携帯電話などを含むAVCネットワーク部門が3兆8403億円、冷蔵庫、洗濯機、エアコンなどのアプライアンス部門が1兆2232億円、半導体やモーターなどのデバイス部門が1兆6597億円、日本ビクターが8190億円、その他9487億円となっている。
松下電器産業代表取締役社長 中村邦夫氏 |
同社が戦略商品と位置づけている90品目の「V商品」は、販売実績が1兆2400億円となった。金額ベースのブランド別国内シェアは、テレビ、ビデオ、ムービー、DVDなどのPanasonicブランドが21.8%(前年比マイナス0.1%)、掃除機、洗濯機、冷蔵庫などのNationalブランドが22.5%(同プラス2.1%)。Panasonicブランドのシェアが若干縮小した理由について、同社常務取締役の川上徹也氏は「テレビやビデオなどにおいて、アナログ商品でシェアを奪われた。DVDは年末に一時シェアを取られたが、3月に新商品を発表し、すぐにシェアを回復した」としている。なお、Nationalブランドの白物家電については「一人勝ち状態」(川上氏)だという。
2003年度の構造改革は、デバイス部門などにおけるモーター事業やアメリカCRT事業の構造改革で350億円、アプライアンス部門における冷蔵庫事業の拠点集約などで480億円、AVCネットワーク部門におけるパナソニックコミュニケーションズの拠点統廃合などで約90億円と、合計920億円の改革を行った。2004年度は、AVCネットワーク部門で230億円、アプライアンス部門で80億円、デバイス部門などで490億円と、合計800億円の構造改革を行うとしており、「2004年で主要な構造改革はほぼ終了する」(中村氏)としている。
2004年度の年間見通しについては、売上高が8兆8000億円(前年比118%)、営業利益が2800億円(同143%)、純利益が630億円(同149%)としている。セグメント別の営業利益は、AVCネットワークが1550億円(売上比4.0%)、アプライアンスが580億円(同4.8%)、デバイスが650億円(同4.0%)、日本ビクターが270億円(同3.3%)、その他150億円(同1.6%)。
松下電器は昨年12月に松下電工を子会社化すると発表しており、2004年度見通しの中には松下電工の業績も含まれている。電工の見通しについて川上氏は、「売上高は1兆4700億円、営業利益は500億円」としている。全社合わせた2004年度の設備投資は前年度比687億円増の3400億円で、うち松下電工への投資は400億円としている。
中村氏は、「今年は新生松下グループとして事業統合を図り、シナジー効果を発揮する。電工との協業の最大の目的は、顧客本位の快適空間を創造することだ。顧客から見てもわかりやすい成果を見せていきたい」としている。中村氏は協業の発表からこれまでのコラボレーション活動の感想として、「松下電器と電工のルーツは同じであるため、各論から入っていけるのが良い点だ。成果は十分に期待できるだろう」と述べた。
松下は成長の要として中国市場を大きなターゲットのひとつとしており、2003年度の販売実績も中国での伸びが現地通貨ベースで121%と地域別では最高だった。中村氏は中国での生産販売額について「2006年には1兆円をめざす」としている。同氏は「中国では高所得者層が高級品を購入する動きが進んでいる。円換算で年収1500万以上の人口が4000万人存在するのだから当然の動きだろう。今後も最先端製品を積極的に中国市場に投入していく」と述べ、1兆円が実行可能な数字であることを確信しているとした。
なお、北米などではSamsungが力をつけてきているが、Samsungについて中村氏は、「たしかに同社の成長は目をみはるものがある」としながらも、「プラットフォーム技術に関しては、日本の技術が数段上だ。特にハイエンド製品など最先端技術を導入した製品は日本企業の実力が証明されつつあり、Samsungがそれほどの脅威とは思わない。戦う体制は十分整っている」と自信を見せた。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」