Microsoftは米国時間21日、EUが同社に下した裁定についてのポジションペーパーを発表し、独占禁止法に関するEUの制裁措置が、IT業界で活動する他社にも損害を与えかねない「新しい法律」に匹敵するとの主張を行った。
21日遅くにMicrosoftのウェブサイトに掲載された、この7ページにわたる文書は、学術論文と法的な摘要を掛け合わせたようなもので、EUの裁定による潜在的なダメージとこの決定の法的な欠点の両方について触れている。
「欧州委員会は新しい法律を作ろうとしているが、これは有力な企業がもつ知的財産権と技術革新の力に悪影響を及ぼすものだ。影響の範囲は、ソフトウェア業界もしくは欧州にとどまらないだろう」(同文書)
EUは現在、Microsoftへの裁定の内容をまとめた、300ページにわたる報告書の公開準備を進めているが、Microsoftによるポジションペーパーの発表はこうしたなかで行われた。EUの報告書は22日に公開される予定で、Microsoftはすでにこの報告書に目を通している。
同日、Microsoftは米国の判事に対し、同社がライバル各社に提供するWindows通信プロトコルのライセンスプログラムについて、期間を延長する用意があることを伝えた。この動きについては、欧州での訴訟に対するてこ入れを図ったものだという意見もある。
先月、EUはMicrosoftに対し、6億1300万ドルという記録的な制裁金を課し、技術情報を競合他社に開示すること、Media Player非搭載のWindows OSを出荷することを命じた。裁定に関する報告書には、今回の裁定に至った過程や、欧州規制当局が決定を下した方法について、詳細な情報が記載されるものと見られている。
Microsoftは、EUに対するこの詳細な回答のなかで、この裁定が同社の創造力を窒息させるだけでは済まないことを示そうとしている。
「ほとんどの製品が、さまざまなコンポーネントの組み合わせるから生まれている時代だ。実際に、プロダクトイノベーションの多くは、このような(コンポーネントの)統合の結果といえる」とMicrosoftは述べている。「現在こうした統合は市場では当たり前に行われており、しかも他のサプライヤー各社もそれで成長を続けている。にもかかわらず、コンポーネントサプライヤー1社の申し立てに基づいて下された今回の決定から、製品設計を阻害する規制が生まれ、さらに記録的な罰金さえ課されることとなった。このような裁定は--もし仮に成立したなら--欧州および世界経済に悪影響を及ぼすだろう」(同社)
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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