IBMは、顧客企業のコンピューティングアーキテクチャをモジュール化の進んだ現代的なものに変える目的で考えられた、一連のコンサルティングサービスおよびミドルウェア製品の提供を開始した。
既報の通り、新たに提供される新製品および新サービスは、顧客によるサービス指向アーキテクチャ(Services-Oriented Architecture:SOA)の採用を支援する目的で考えられたもの。SOAとは、柔軟性および費用効率の高いコンピューティングシステムの構築/運用方法を指す。IBMの他にも同社と競合するITベンダー数社が、SOA構築用のツールやソフトウェアインフラを提供している。現在ビジネスアプリケーションを設計する際に、SOAが選ばれることが多くなりつつあるが、その過程はかつてクライアントサーバやウェブアプリケーションが広く普及した時とよく似ている。
今回発表されるコンサルティングサービスは、IBM Global Services(IGS)を通じて全世界に提供される。このサービスは、各企業による既存のコンピューティングシステムの評価や、SOAの構築やWebサービスの利用のための計画策定を支援するよう考えられたもの。Webサービスとは、相互運用が可能なモジュール化したアプリケーションを記述するための一連の標準を指す。またIGSでは、メインフレームなどの従来型システムをSOAへ移行するためのサービスも提供する。
ソフトウェア関連では、IBMはJavaベースの統合ソフトウェアシリーズに「WebSphere Business Integration Server Foundation」を追加した。このソフトには、Business Process Execution Language for Web Services(BPEL4WS)ベースのワークフローソフトが組み込まれている。BPEL4WSは、Webサービスベースのソフトウェアを利用したビジネスプロセスを自動化するための仕様で、現在は開発段階にある。
このワークフローソフトは、各企業内のパッケージ化されたアプリケーションと特注のアプリケーションが情報共有することで、ビジネスプロセスが自動化されるように設計されている。価格は1プロセッサ当たり4万9000ドルとなっている。
SOAとは、ビジネスプロセスの自動化や異種システム間の情報共有を容易にするためのソフトウェアの設計手法を指す。企業がSOAを構築するには、Webサービスなどの業界標準を使って通信する、相互運用可能なコンポーネントの集合としてアプリケーションを記述すればよい。このアプリケーションをモジュール化するというアプローチは、より費用効率が高い。というのも、企業はこの方法を採用することで、発注管理アプリケーションなどのソフトウェア機能を一度開発すれば、社内の様々な場面でその再利用が可能となるからだ。
コンサルティングサービスとソフトウェアを組み合わせたIBMのSOAへのアプローチによって、顧客は、改善を目指すビジネスプロセスに技術をうまく応用できるようになると、IGSのWebサービス担当バイスプレジデントMichael Liebowは説明している。同氏によると、コンサルティングサービスでは、顧客のアプリケーション統合の仕事を引き受けるが、IBMはコンサルタントとしての専門知識を様々な業界に対して提供できるという。
IBMが全世界で提供し始めたコンサルティングサービスの1つは、ビジネスコンポーネントモデリングと呼ばれるサービスだ。かつて「Catalyst」というコード名で呼ばれたこのサービスは、IBMのBusiness Consulting ServicesグループとIBM Researchが共同開発したものだ。
顧客企業は同サービスを利用することにより、自社のビジネスプロセスが同業他社と比較してどの程度効率的かを測ることができる。自社のビジネスプロセスを同業他社と比較することは、合理化可能な分野を発見し、コールセンターの運営などのように外部委託が可能なビジネスプロセスを決定する上で役に立つ。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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