マイクロソフトは19日、1台のPCで複数のOSを動かすことのできるVirtual PC 2004を5月6日より販売開始すると発表した。Virtual PCは、昨年2月にマイクロソフトが買収したConnectixのVirtual Machineテクノロジーを元にしたもので、日本では過去にConnectixブランドとして販売されていたもの。マイクロソフト製品としては、昨年Macintosh上でWindowsを動作させるためのVirtual PC for Macintoshがリリースされており、今回はWindows版のリリースとなる。
Virtual PCは、Windows XPまたはWindows 2000上にバーチャルマシンを作成し、そのうえで旧OSのアプリケーションを実行することが可能となるもの。米国では昨年12月に英語版のVirtual PC 2004がすでに発売されている。Connectixの技術を元にマイクロソフトが改善を加えた部分は、同社のセキュリティ基準を満たすべくアーキテクチャを再設計したこと、ネットワーキング機能を強化したこと、仮想マシンの構成情報をXMLフォーマットファイルに格納することで仮想マシンを他PCに容易にコピーできるようになったこと、サポートするメモリ容量がゲストOSごとに3.6G、全OSで4Gと拡大されたことなどだ。
Windows XP上で、Windows 98、NT、Meが動作している様子。アプリケーションを動かす感覚でゲストOSを操作できる(クリックすると拡大します) |
マイクロソフトは、旧バージョンのWindowsからWindows XPへのアップグレードをためらう顧客にVirtual PCを提供することで、XPの普及をさらに促進させたい考えだ。「企業が新OSへの移行をためらう理由として、現在使用しているアプリケーションが新プラットフォーム上で互換性を持たないということがあげられる。そのためこれまでは、新OSと互換性のあるアプリケーションが開発できるまで移行を延期したり、旧バージョンをそのまま使い続けたり、新OSを導入するものの、古いアプリケーションを使うためだけに旧OSのインストールされたPCを別途保有するなど、非効率な方法が取られていた。Virtual PCは新OS上で旧OSを走らせることができるため、こういった課題を解決することができる」と、同社Windowsビジネス本部Windows製品部クライアントグループシニアプロダクトマネージャーの中井陽子氏は説明する。
マイクロソフトWindowsビジネス本部の中井陽子氏 |
ほかにもVirtual PCの導入効果として中井氏は、ヘルプデスク業務の効率化や、ユーザー教育・トレーニングでの活用ができると説明。また複数のOS上で簡単にテストやデバッグ作業が可能となるため、プログラム開発のスピードアップにもつながると述べている。
Virtual PC 2004は、Windows XPとWindows 2000上で動作し、ゲストOSとしてWindows MeやWindows 95、NT Workstation 4.0、MS-DOS 6.22、OS/2 Warpなどをサポートする。Windows 3.1やLinuxなどもインストール可能だというが、マイクロソフトで動作確認はしていないためサポートは対象外となる。
価格は、パッケージ版の推定小売価格が1万5800円で、「Connectix製品として販売していた頃や、(VMwareから出ている)同様の製品より安価で提供し、より多くの人に使ってもらいたい」(中井氏)としている。ボリュームライセンス版でも提供される予定で、5月6日の発売日にはボリュームライセンス版のみが販売開始される。パッケージ版は5月14日に発売予定で、ドイツ語版、フランス語版、イタリア語版、スペイン語版も同時発売される。45日間無償のトライアル版は、同社サイト上にて入手可能だ。
Connectixより海外にて提供されていたサーバ版の仮想マシンソリューションとなるVirtual Serverは、今年夏以降に提供予定という。なお、Virtual Serverの競合製品となるVMwareのVirtualCenterは、同日NECより販売が開始されている。
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