Baan、EXE Technologiesの2社を2003年に買収し、事業拡大に挑んだSSA Global。単一ERPベンダーであった同社は、これらの買収によって複数のERP製品を提供するベンダーへと生まれ変わった。同社の日本法人であるSSAグローバルは13日、それぞれの製品の位置づけと同社の戦略についての説明会を行った。
SSAグローバルは、ERP製品を中心に、SCM、CRMなど、製造業のほぼ全業務を網羅する製品群をそろえている。国内の製造業におけるERPライセンスの売上高別シェアは、SAPの35.3%、オラクルの9.7%、Glovia-Cの7.1%に次いでSSAグローバルが6.5%と第4位になっているという(矢野経済研究所調べ)。そのなかでもSCM製品のライセンス売上高は「SAPに次いで2位」とSSAグローバル代表取締役社長のリチャード・ライアン氏は述べ、同社の製造業界における存在感をアピールする。
SSAグローバル代表取締役社長のリチャード・ライアン氏 |
SSAグローバルが中核製品として位置づけているのは、製造業向けERP製品のSSA BPCSとSSA Baan ERPの2つだ。SSA BPCSはSSAグローバルが買収前より自社製品として提供していたもので、SSA Baan ERPは名前のとおり元Baanの製品である。2製品の位置づけの違いについて、同社技術本部プロダクトマーケティング部プロダクトマネージャーの南昇吾氏は「BPCSは、組立系からプロセス系まであらゆる生産形態において、見込み生産や連続生産に対応するための機能が豊富にそろっている。一方のBaan ERPは、特に組立系で受注生産や部品点数が多くて複雑な生産形態に対応する機能が豊富だ」と説明する。これらの製品は今後もSSAグローバルブランドの2大中核製品として提供を続けるという。
この2大製品のほかに同社が戦略製品と位置づけているのが、EXE Technologiesの買収で手に入れたSSA Warehouse Management(旧製品名はExceed)という倉庫管理システム(WMS)だ。ERPで基幹業務を扱い、そのうえにロジスティクスを連携させることで企業の競争力をつけることができるという。「この製品を導入すれば、在庫回転率の向上や欠品の削減、輸送費の低減などが実現できる。製造業における可視性とスピードの向上に結びつき、付加価値を与えることのできる製品だ」と南氏は同製品について説明する。
SSAグローバルでは、今後もWMSを含めロジスティクス分野の製品に注力する考えのようだ。ミック経済研究所のデータによると、現在WMSの国内におけるライセンス売上高別シェアは、SSAグローバルが29.8%でトップとなっている。この分野に注力する理由についてライアン氏は、「顧客のニーズが非常に高いため」としている。「SSAグローバルでは顧客と密接な関係があり、顧客のニーズが何かを把握するうえで有利な立場にある。そのなかで感じたことは、ロジスティクス分野に高い注目が集まっているということだ」とライアン氏。「ロジスティクスは現在、非常に伸びている分野だ。しかしまだ成長の頂点に達してはおらず、他ベンダーも明確なビジョンを打ち出していない。他社より一歩先にこの分野に注力することで、優位性を発揮できる」
ライアン氏はまた、ロジスティクス分野で新たな買収もあるだろうとの考えを示している。具体的にどのような企業を買収するかについては触れなかったが、「現在わが社が抱えている製品の競合となるものではなく、今の製品を補完する技術を持った企業となるだろう。たとえば輸送管理システムなど、ロジスティクス分野ではまだわれわれが手がけていない製品は多くある」と述べた。
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