トレンドマイクロは4月12日、アウトソーシング型のウイルス対策遠隔管理サービス「ウイルス対策リモートサービス」を発表した。対象となるのは従業員数300〜1000人程度の法人で、SIerなどのパートナー企業を通じて提供される。価格は、パートナー企業ごとに独自に設定される予定だ。受注開始予定日は5月18日、出荷開始予定日は5月20日となっている。
ウイルス対策リモートサービスの基本になる製品は「Trend Micro Control Manager 3.0」。パートナー企業には「Control Manager 3.0 エンタープライズ」を導入し、パートナー企業の顧客となる法人には「Control Manager 3.0 スタンダード」を導入する。前製品となるControl Manager 2.5では、リモート操作をするために専用線などを導入して各端末とControl Managerが同一ネットワーク上に存在する必要があったが、Control Manager 3.0ではインターネット越しにリモート管理できるようになった。
ユーザー企業に提供されるサービスメニューは各パートナー企業が選択するが、トレンドマイクロ製品のリモートによる設定変更、パターンファイルや検索エンジン、スパムルールなどの配信、各種ログの保存と検索、電子メールやSNMPトラップ、メッセンジャーなどを使った通知機能、レポート作成機能が提供される。
すでに発売されている通常版のControl Manager 3.0と異なり、パートナー企業に提供されるのはControl Manager 3.0eと呼ばれるカスタマイズ版。パートナー企業の顧客の環境で発生したイベントに対して、電子メールやSNMPトラップ、Windowsログイベント、MSNポップアップなどを使った通知機能が実装されている。対応するイベントはウイルス関連や脆弱性に対する攻撃の兆候など24種類。また、ウイルスバスターコーポレートエディションのクライアント情報およびServerProtectノーマルサーバ情報をリモートで取得できる。表示される情報は、クライアント名、ドメイン名、OSとバージョン、パターンファイルの番号、製品のバージョンの5種類となっている。
このほかに、オプションサービスとして、脆弱性診断サービス、大規模感染予防サービス、ウイルス感染復旧サービスなども提供可能となる。脆弱性診断サービスはエージェントが不要で、ウイルス脅威に応じた危険度を診断する。大規模感染予防サービスでは、予防ポリシーの配信やウイルス対策製品の設定変更、ポートブロックやファイルブロックを提供する。ウイルス感染復旧サービスでは、感染したマシンの一括復旧を行う。
トレンドマイクロによると、初年度で20社程度のパートナー企業に販売する方針。卸価格などは明らかにされていないが、1998年から提供してきた遠隔監視サービス「eDoctor」の提供価格とそれほど変わらない価格としている。eDoctorでは、ウイルス対策に関わるログ管理、問題発生時の通知、月次レポートを提供していた。しかしながら、パートナー企業に問題が発生したという通知が届いた場合、実際に人材を派遣して対応する必要があった。
トレンドマイクロの調査によれば、ウイルス対策ソフトを導入しているユーザーの6割程度が新たなウイルスに感染してしまうという。また、企業によっては専任のウイルス対策管理者を置く余裕がない場合や、最近のウイルスの動きを理解するのが難しいというのが現状だ。このため、クライアントとなる企業のネットワーク環境を熟知しているSIerなどのパートナー企業に対してウイルス対策をアウトソースすることで、問題の解決につながるとしている。
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