バリューコマースは4月8日、検索事業を展開するLookSmartの日本法人であるルックスマート・ジャパンの営業を3月26日付で譲り受けたと発表した。この事業買収により、バリューコマースはこれまでのEマーケティングとインフラ事業に加え、検索・ディレクトリ事業にも注力していく考えだ。
バリューコマース代表取締役社長兼最高経営責任者 ブライアン・ネルソン氏 |
ルックスマート・ジャパンは、2000年より日本でビジネスを開始、OEMベースでディレクトリサービスを提供している。現在同社のメディアパートナーは、MSN、Excite、Fresh Eyeなど。同社が保有する31.8万にものぼるディレクトリは編集者の手作業で2万3000カテゴリーに分類されている。また同社は、広告主として2万6000社と関係を結んでいる。バリューコマースは、ルックスマート・ジャパンの保有するディレクトリ、およびディレクトリ制作・維持技術に関する日本での独占的権利、ブランド名、社員およびインフラを取得することになる。
ルックスマートはバリューコマースの100%子会社として新会社に生まれ変わるが、社名およびブランド名、事業内容、パートナー関係などに変更はない。現在同社には約20名の社員が在籍しているが、日本法人の社長とLookSmartのCEOを兼任していたダミアン・スミス氏が日本を離れて米国の事業に専念する以外に人事異動はないという。なお、新会社の社長兼代表取締役には、バリューコマース創業者兼会長のティム・ウィリアムズ氏が就任する。
ルックスマート・ジャパン取締役兼最高執行責任者の蜂巣健一氏によると、昨年秋より米国本社で戦略の変更があり、「これまで全世界統一のビジネスモデルで事業展開していたものをよりローカライズし、各国で独自完結モデルを模索することになった」という。このため、今回の買収話は独自のビジネスモデルを進めるうえでよい機会だったといえる。他社からの引き合いもあったというが、ルックスマートとバリューコマースは2年前より提携関係があったほか、「(1996年設立の)バリューコマースは日本のインターネット業界で長い経験があり、日本独自のビジネス展開を進めるうえで最適なパートナーだと感じた」(蜂巣氏)という。
いっぽうのバリューコマースは、ルックスマートの買収でディレクトリおよび検索サービスを手がけることになり、「メディアパートナーや広告代理店との協力関係がより密接になるうえ、広告主を増やすこともできる」(バリューコマース代表取締役社長兼最高経営責任者 ブライアン・ネルソン氏)と、相乗効果に期待している。
なお、バリューコマースはGoogle、Overtureとも提携関係を結んでいるが、引き続き両社との関係も続けるという。ネルソン氏は、「(ルックスマートを買収したからといって)GoogleやOvertureとはライバル関係にはならない。キーワード検索に関してはGoogleがやはり強いと感じている。LookSmartは手作業のディレクトリが売りだ。また、キーワードをオークション形式で販売することも行わない」と説明する。
今回の買収にあたっての金額は明らかになっていない。バリューコマースの収益は現在、オンライン広告やアフィリエイトサービスプロバイダとしてのEマーケティング事業およびコンサルティング事業が80%、ホスティングなどのインフラ事業が20%となっているが、今後ディレクトリおよび検索サービスを強化することで、「Eマーケティング事業が72%、インフラ事業が18%、検索事業が10%という収益配分にしたい」(ネルソン氏)としている。
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