Sun Microsystemsは米国時間4月2日、Microsoftとの間で長年争ってきた法廷闘争で和解に達した。しかし、同社の先行きには依然として大きな問題がいくつも待ちかまえている。
Sunには、売り上げの減少や従業員の追加削減、さらには競合各社からの圧力といった問題が重くのしかかっている。同社はこうした問題に決着をつけるために、収益の大半をサーバの売上から得ている現状を改め、ソフトウェアのライセンス販売に重点を移そうとしているが、ただしこれまでこうした転換に成功した企業はほとんど存在しない。
明るい材料としては、Sunが動きの素早さでは業界でも一、二を争う企業であることを、これまでの歴史の中で証明している点が挙げられる。IlluminataのアナリストGordon Haffは、Sunが過剰な経費削減を行い、結果的に自分の首を絞めるという、これまで多くの大企業がおかした過ちを繰り返す可能性は少ないと述べている。しかし同社の目の前には、実に多くの問題が待ちかまえている。
「Sunには、だれも予想しなかった180度の大転換を成功させてきた歴史がある。同社がかつてワークステーションのメーカーだったことを覚えているだろうか」とHaffは述べ、さらに「彼らの抱える問題はかなり深刻だが、しかし会社の存続が危ういわけでは決してない」と付け加えている。
Microsoftとの合意により、Sunは19億5000万ドルの支払いを受けることになったが、この大部分はそれほど遠くない時期に同社の手元に入る予定だ。Sunには、2003年12月期の決算時点で、14億8000万ドルの現金および現金同等物の流動資金があったほか、株式や売掛金などの短期資産を含めると合わせて55億ドルの資金がまだ残っている。これにMicrosoftからの支払いを合わせると、同社が利用できる資金は70億ドルとなる。ただし、Sunは2日に発表した約3300人の人員削減費用として、4億7500万ドルの一時損金を次四半期に計上する予定だ。
Sunの業績悪化は、いろいろな形で3年以上も前から始まっているが、その原因は競合各社に包囲されたことにある。ドットコムバブル時代にサーバの販売で成功を収めたSunは、エンジニア、リソース、資金の面で勝る大企業から標的にされてしまった。これらのライバル各社は、標準コンポーネントの採用によって研究開発費を効率よく分散できた。それに対して、Sunはこれまで独自のUltraSparcチップやSolarisオペレーティングシステム(OS)に頼ってきている。
「Sunは、過去2年間、多かれ少なかれ経費が売上高を上回る状況にあった」とIDCのアナリストJean Bozmanは説明している。
Sunがもっとも急成長を遂げるサーバメーカーだった当時、IBMでは自社のサーバ関連部門で組織再編を行い、Sunを追い落とすという目標を掲げた。そのIBMは現在最大のサーバメーカーとなっている。
市場調査会社のGartnerが今年発表したデータによると、サーバ市場の売上は2003年に5%前後の成長を記録し、合計で461億ドルとなった。しかし、Sunの売上は15%減少して54億ドルとなり、市場に占めるシェアも2.8%下がって11.8%に後退した。
2003年には、Sunを除く他の主要サーバメーカーはすべて成長を遂げた。IBMのサーバ売上は10%伸びて148億ドルとなり、同社のシェアは32%に上がった。2位をゆくHewlett-Packard(HP)の売上も5%上昇して125億ドルとなり、また第4位のDellでは22%というもっとも急速な伸びを記録し、40億ドルを売り上げた。
IntelもまたSunの失墜に力を貸している。1997年には、Intelチップ搭載サーバが占める市場シェアはほんの数パーセントに過ぎなかった。ところが現在では、同社やAdvanced Micro Devices(AMD)製チップで動作するサーバは、出荷台数ベースでは市場の90%以上に達し、また売上でも半分以上を占めるまでに成長している。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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