マイクロソフトは3月29日に月例プレス説明会を開催し、同社のエンタープライズ戦略について説明した。説明にあたったのは、同社エンタープライズビジネス部門を率いる常務執行役の平井康文氏。同氏がマイクロソフトに入社して約1年、デスクトップソリューションを提供する企業からエンタープライズプラットフォームを提供する企業へと変ぼうしつつあるマイクロソフトの取り組みを語った。
平井氏によると、現在同社がエンタープライズ市場で取り組もうとしているのは3つの分野。それは、カスタマーエクスペリエンス、バリュー、そしてソリューションだという。
カスタマーエクスペリエンスとは、顧客満足度を向上させることだ。米MicrosoftのCEOスティーブ・バルマー氏も「ビジネスの成長よりも顧客満足度を向上させることが大切だ」と言い切っているという。平井氏は、「これまではソリューションといえばパートナー任せの部分があった。
実際には、顧客満足度を測るためにCondition of Satisfaction(満足度状況)というプログラムを実施しているという。これは、マイクロソフトに期待することは何かを顧客にインタビュー調査し、同社がその期待に応じるために何をすべきか、対応策とそれを実行するまでの期間を決めて文書化する。その期間を経て結果をレビューし、評価してもらうのだという。こういった地道な活動で徐々に顧客満足度は上がっていると平井氏は述べ、「明治安田生命と住友信託銀行からは感謝状も受け取った」と話す。
バリューに関しては、Windows Server Systemで製品の市場投入を50%向上させることができたReutersの事例や、Linuxに移行した場合と比較して試算すると20%のTCO削減が実現できた7-Eleven、20カ月で投資を回収し、246%という高いROI(投資対効果)を得ることができた住友信託銀行などの事例を紹介した。平井氏は、「いま経営の統合化や効率化において注目されているのはBPM(Business Process Management)だが、このBPMで4大要素とされているのが“モデリング”“実行管理”“統計・分析”“モニタリング”だ。マイクロソフトでは、モデリングツールとしてVisioを、実行管理ツールおよびモニタリングとしてBizTalk Serverを、統計・分析ツールとしてSQL Serverを用意しており、それぞれに対応できるようになっている」と述べる。
また、ソリューションについて、平井氏は「製品を提供するのみならず、ソリューションを提供するよう力を入れている」としている。これは顧客満足度の向上にもつながることであるが、アプリケーション統合ツールとしてBizTalk Serverを提供し、業務アプリケーションとしてSQL Serverを提供するのみならず、「(単に製品別の切り口ではなく)業界別に違ったアプローチをすることで、多様な使われ方をする個別業界への対応を強化したい」と語った。
最後に平井氏は、2004年にフォーカスする分野について述べた。「統合された革新技術を推進し、コスト管理やビジネス価値の創出、既存ビジネスの継続を実現する。また、日本では特に実現に至っていないホワイトカラーの生産性向上に向けて取り組みたい。マイグレーションの推進およびセキュリティへの取り組みに関しても、今後さらに強化していく。また、パートナーとは、エコシステムを拡大し、パートナー同士の縁結び役も務めることでマイクロソフトとしての価値を高めたい。パートナー関係については、数々の発表を予定している」(平井氏)。壮大なビジョンを語る平井氏率いるマイクロソフトのエンタープライズ部門は、今年同社をどこまでソリューション企業として成長させることができるだろうか。
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