ウェブ標準化団体のWorld Wide Web Consortium(W3C)は16日(米国時間)、音声によるコンピュータとのインタラクションに関する2つの仕様が、間もなく業界標準化されると発表した。
既報の通り、W3CはITベンダー数社による一連の検証を実施して、勧告の作成に取り組んできた。
今回標準化される仕様の1つであるVoiceXML 2.0は、ウェブコンテンツの開発および、対話型音声対応アプリケーション向けのウェブコンテンツ配信の向上を目的とする。もう1つの音声認識文法仕様(Speech Recognition Grammar Specification:SRGS)は、VoiceXMLによる音声認識のサポート拡大を意図して設計されており、またエンドユーザーの応答を口頭のプロンプトに変換することも可能だ。
VoiceXML仕様は一般に、キー入力の代わりに音声コマンドを利用して、企業にかかってきた電話への応答を自動化するプロセスに適用される。同仕様を利用するメリットとしては、通話のルーティング(経路指定)、情報収集/検索の向上などが挙げられる。同仕様はインターネットでの利用が可能で、インターネットと切り離して使用することもできる。
Hewlett-Packard、Motorola、ScanSoft、IBM、Tellme Networksなどの企業がVoiceXML 2.0仕様の検証にあたったが、同仕様が複雑なため、W3Cが評価を完了するまで通常よりも多くの時間がかかった。
今回の承認は、Speech Interface Framework(音声入出力インタフェースフレームワーク)の確立に向けたW3Cによる最新の取り組み。W3Cはこのインターフェースを確立することで、より多くの人々が、電話のプッシュボタンを使った入力、電話での口頭によるコマンド入力、あるいは他の音声入力を使ってウェブベースのサービスを利用できるようになることを期待している。
歴史的な出来事
W3Cのディレクターで、World Wide Web(WWW)を考案したことで知られるTim Berners-Leeは、W3Cの今回の勧告について、通信とインターネット技術との融合における「歴史的な出来事」と評した。
Berners-Leeは声明の中で、「歴史的に見て、音声ベースのシステムとインターネットおよびウェブとでは、これまでの進化の仕方に、技術的にも文化的にも大きな隔たりがあった。そのため全ての情報は、音声システムかウェブのどちらか一方からしか入手できなかった」と語った。
「VoiceXML 2.0とSRGSの両仕様を含む W3C Speech Interface Frameworkが開発されたことにより、両グループの長所を統合し、さらにその恩恵を享受することができる」(Berners-Lee)
W3CによるVoiceXML 2.0仕様の承認は、現在最も注目されているIT関連部門の1つであるVoIP(voice over Internet Protocol)サービスの今後の開発にとっても重要と考えられている。VoIPとは、従来の電話線を使った電話サービスに代わる、インターネット経由での通話を可能にする技術だ。
なお、W3Cは今回の勧告の作成にあたり、VoiceXML 2.0仕様の知的財産権問題を解決するため、同仕様に関する二つ目の特許諮問委員会(Patent Advisory Group:PAG)の設置を余儀なくされた。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向け に編集したものです。
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