映画会社各社は、自社作品の海賊版流通にネットが一役買っていると抗議する一方で、ネットをプロモーションの媒体として利用することも徐々に進めており、現在これまでよりも長めのプレビューを流して、新作映画の売り込みに使っている。
今週Warner Brothersは、まもなく一般公開になる「Taking Lives」というスリラー映画の冒頭部分9分8秒を、Yahoo Moviesで上映している。この取り組みは、オスカー受賞女優のAngelina Jolieが主演し、米国では3月19日に劇場公開予定の同作品の、認知度の向上とチケット販売の促進を狙ったものだが、こうした手法で劇場公開前に視聴者にプレビュー版を披露した映画としては、おそらく最も豪華なキャストが揃った作品となる。またWarner Brothersは、映画館に足を運ばせることを狙ってオンラインユーザーに新作映画を「味見」させる映画会社の仲間に加わったことになるが、これらのプレビュー版は以前よりも長くなっている。
「映画の最初の10分間で、ユーザーはその作品の好き嫌いを判断する」とYahoo Moviesのゼネラルマネージャー、Doug Hirschは述べ、さらに「もしその映画に夢中になれば、劇場公開の際には観に行きたくなるだろう」と付け加えた。
この動きは、オンラインでのエンターテインメントおよび映画のプレビューへのニーズが高まるなかで登場したもの。すでに大勢の人々が高速なインターネットアクセスを利用しており、表現力豊かなコンテンツを求める声が高まっている。その結果、映画クリップや音楽ビデオは、オンラインで最も需要の多いコンテンツとなっている。
さらに、インターネットは消費者の選択に大きな影響を与えるようになりつつある。調査会社のNetsEdge Research Groupによると、劇場公開直後の週末に映画館へ足を運んだ人間のうち、ウェブ経由で作品の予備知識を得ると回答した者が最大で40%に上ったという。
各映画会社は、こうした需要に応えるべく、いくつもの新手の実験を試みながら、ユーザーの心を捉えようとしているところだ。今年はじめには、America OnlineがMovielinkと組んで、期間限定ながら99セントで映画の完全版を販売していた。Movielinkは5大映画会社の後押しするオンライン映画サイト。また、Yahoo Moviesは複数の映画会社と手を組み、Foxの「28 Days Later」やLions Gateの「Confidence」を含む作品のプレビューとして、7〜10分間の映像クリップを流していた。
一方で、各映画会社と業界団体の全米映画協会(MPAA)は、音楽業界の二の舞になるのを避けようと、ネットユーザーが映画の違法コピーをダウンロードするのを防ぎ、DVDや映画館でのチケット売り上げを減少させまいと必死に取り組んでいる。彼らは力を合わせて、消費者の心を動かすために啓蒙目的の広告展開と、違法コピー防止技術の標準確立を支援する政府へのロビー活動に注力している。
映画会社はまた、MovielinkやCinemaNowのような合法的な映画のダウンロードサービスのプロモーションも行っている。また、Yahooでは各映画会社との関係を深め、会員向けの定額サービスを宣伝することを狙っている。Nielsen/NetRatingsが1月に行った調査によると、Yahoo Movieには1カ月で約940万人のユニークビジターがアクセスしたという。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向け に編集したものです。
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