日本フィリップスは10日、同社の半導体事業について事業戦略説明会を行った。2003年の同社の半導体部門の売上高は全世界で40億ユーロ。海外法人を含む日系企業向けに対する売上は全世界の約10%だという。
日本フィリップス半導体事業部事業部長代理の松本実氏によると、同社が2003年に業績を伸ばしたのは、アナログテレビ向けのワンチップソリューションであるUOCIII(Ultimate One Chip III)、カーオーディオ用のオーディオデジタル信号処理DSP(Digital Signal Processor)
今後の主力製品として同社が力を入れるのは、LCDテレビ向けのワンチップソリューションであるL.O.C.、デジタルテレビなどのプラットフォーム向けの再プログラム可能なメディアプロセッサNexperia、ゲーム機などの部品数削減や省スペース化を実現するPMU(Power Management Unit)に加え、無線LAN、RFIDなどだ。RFIDについては、「約10の官公庁プロジェクトに関わっており、今後家電製品のリサイクルやアパレルのSCM、農林水産省の食品トレーサビリティ、空港のバゲージタグ、出版物管理などの用途で販売を拡大させていきたい」と松本氏は説明する。
さらに同氏は、「デジタル・アナログテレビ関連、カーインフォテイメンメント(情報提供と娯楽性を組み合わせたもの)、ポータブルデバイスなど、日系企業が世界市場を技術的にも生産量的にもリードしている分野で、かつフィリップスが戦略商品を開発している分野には、積極的に人材を集中させ、拡販を図りたい」としている。
同社のNexperiaはまさにこの分野にあてはまるデジタルテレビ向けの製品だが、ソフトウェアベースで再プログラムが可能なため、アップグレードや機能拡張が容易となる。このため、「短期間で新製品を市場投入することができるとともに、ハードウェアベースでカスタマイズされていたASIC(Application Specific Integrated Circuit)とは違い、ソフトウェアベースでのプログラムが中心となるため、製品のバージョンアップ時にもハードを継続利用することができる」と松本氏は説明する。
同社半導体事業部事業部長のスコット・マークォート氏も、「半導体技術の中で、ソフトウェアの重要性は高まりつつあり、これが業界を変えつつある」という。「ASICは便利だが、コストがかかる。量産メリットを出すために、時代はASICから徐々に標準製品を採用しようという方向に戻りはじめている。そこでASSP(Application Specific Standard Product)に注目が集まっているが、Nexperiaはまさにこの時代の流れに沿った製品だ」(マークォート氏)
同社では、日系メーカーのグローバル化に伴い、代理店政策の見直しをはかっている。これまで国内において約10社の代理店と契約していたが、今後国際的なサポートが必要となるため、「(国際的なサポートが担当可能な)大手代理店に販売ルートを集約させる」と松本氏はいう。各代理店にはフィリップス半導体専任のチームを配置し、より効率的な顧客サービスを提供するという。同氏によると、現在の代理点数は6社。
日本国内での具体的な数値は発表していないものの、日本フィリップスでは半導体部門の売上目標を前年比約25%増としている。ただ松本氏によると、「第1四半期の受注が好調であることから、第2四半期以降の受注状況によっては前年比約30%増も見込めるだろう」とのことだ。
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