Oracleにとって最大のライバルであるSAPが、PeopleSoft買収を阻止しようとOracleを訴えた米司法省の判断に異議を唱えた。この件では、とりわけビジネスアプリケーション市場におけるMicrosoftの存在を軽視した同省の判断に、各方面から疑問の声が上がっている。
SAPの重役会メンバーであるShai Agassiは、米国時間2日に行われたインタビューのなかで「司法省の判断は間違いだ」と語った。
Agassiは、先週提出された訴状のなかで示されている、同市場に対する司法省の見方を問題視している。この訴状では、Oracleが仕掛けたPeopleSoftに対する総額94億ドルの買収について、これが実現すると、大企業向けの企業会計ならびに人事を効率化するアプリケーションソフトの市場に、SAPとOracleの2社しか競合企業が残らなくなるとの主張がなされている。選択肢の幅がそれほど狭まれば、製品の価格は上昇し技術革新も失われると、この訴状には記されている。
Agassiによれば、SAPのような世界の大企業向けにソフトを提供する企業と、Microsoftのように中小規模向けにソフトを提供する企業とを隔てる境界線は曖昧なものだという。「ちょうど水と油を分ける境界のようなものだ」と同氏は説明し、「少しかき混ぜただけで、すぐに変化してしまう」と付け加えた。
Microsoftがビジネスアプリケーション市場に参入したのはごく最近のことであり、売上の大半は年商10億ドル未満の企業からのものだが、それでも競合相手として軽視されるべき存在ではないと、Agassiは語った。SAPとMicrosoftは、中小企業向けのビジネスで競争し始めているが、この分野は、司法省による市場の定義からは除外されている。
OracleによるPeopleSoftの買収を容認するAgassiの見解は、直接競合する相手側のものとしては不可思議に思える。だが、競合各社が置かれた立場を理解すると、これが理にかなったものであることがわかってくる。
SAPは、競合他社同士の争いが長引くことから生じる混乱で、利を得られる立場にある。また、各企業のIT購入担当者は、PeopleSoftの先行きに不安を感じながらも、同時にOracleに対しては複雑な思いを抱いていることから、そうした潜在顧客にとってはSAPが安心して頼れる存在に思えるという考え方もある。
こうした利害が絡んでいるとしても、なおSAPの口添えがOracleに利するということも考えられる。とりわけ、司法省の訴えの背景にある解釈には、多くの業界アナリストから疑問の声が上がっており、SAPのコメントはそれと呼応するものだからだ。これらのアナリストは、特に司法省が同市場でのMicrosoftの影響力を軽視したことを非難している。
AgassiがOracleの言い分を支持する発言を行ったことで、Oracleが延々と続けるPeopleSoft買収の戦いや、さらには司法省による訴訟を受けて立とうとする同社の取り組みは、摩訶不思議な展開をみせることになった。Oracleの共同社長であるCharles Phillipsは今週初め、OracleはPeopleSoftを買収することで、より効果的にSAPに襲いかかるのに必要とされる規模の大きさを手に入れることになると語っている。さらに、SAPの幹部らが、長年のパートナーであるMicrosoftを競合相手と認めることは、これまで決してなかったからだった。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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