先駆的な研究で知られるXeroxパロアルト研究所(PARC)の研究者らが、あらゆる家電機器が相互通信可能になり、ネットワーク化された家電がより使いやすくなるというソフトウェアを開発した。
PARCは2日、「Obje」というソフトウェアアーキテクチャを発表した。Objeのアーキテクチャは、互換性の問題を解消する共通言語の構築に利用される。コンテンツメーカーや機器メーカーは、あらゆる機器でデジタルメディアを簡単に再生できるようにしようとしているが、互換性の問題は彼らが直面する最大の課題の1つとなっている。
Digital Home Working GroupやUPnP Forumなどの業界団体は、機器の種類やフォーマットに関係なく、消費者がさまざまなメディアを簡単に使えるようにすることを目的として設立された。また、このための新たな標準が開発されてもいる。デジタルメディアがもっと使いやすい消費者が思うようになれば、彼らがそれを再生する各種の機器を購入する可能性も高まると、複数の業界関係者は述べている。
また、家電同士が容易に接続できるようになれば、有線および無線ネットワーク上のリソースに簡単にアクセスできるようにもなる、とPARCの事業開発主任、Hermann Calabriaは説明する。
「我々は、単にある特定の機器で、オーディオやビデオを再生できるようにしているのではない。部屋にある(ネットワークに接続された)あらゆる機器で、いつでも好きなときに再生できるようになるのだ」(Calabria)
Objeは、簡単にいうと、機器同士が互いに通信する方法を教え合うようにするもので、この際ネットワーク接続や直接結ばれたケーブルを通じて、コードが機器に送られる。Calabriaによると、伝送される内容にもよるが、どの言語で通信するかの判断は、ほぼ瞬時に行なわれるという。
このソフトウェアは、機器のタイプやオペレーティングシステム(OS)、ネットワークの違いに関係なく動作するが、ただしバーチャルマシンのようなものは必要ない。これまでに、PARCの研究者らはメモリ32MBのHewlett-Packard(HP)製iPaqデバイス上でObjeが機能することを確認している。Objeは他のネットワーク技術とも互換性があり、ネットワーク上の全ての機器にロードする必要がない。
PARCでは、このソフトウェアの提供に関して、家電市場に焦点を絞っている。家電メーカー各社は、使いやすさと互換性が、顧客にとって最も重要だとしている。PARCは、この技術の商用プロジェクト化について複数の企業と交渉を進めていると語ったが、具体的な企業名は明らかにしなかった。Calibriaによると、このソフトウェアはまだ外部に提供できるような形にはなっていないものの、そのコンセプトは成熟しているという。PARCではこの技術のライセンス提供を検討中だ。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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