3億ドルの開発費を回収できるか?--米プロケットの新社長が来日

永井美智子(CNET Japan編集部)2004年02月20日 18時07分

 ハイエンドのルータ製品を扱う米Procket Networksの新CEO兼社長に就任したローランド・アクラ氏は2月20日、都内で会見を行い、同社の技術や日本市場への取り組みについて紹介した。

 Procketは1999年に創業された企業で、多くのベンチャーキャピタルから総額2億7200万ドルの資金を集めた。しかし最初の4年間は技術開発に専念しており、製品の出荷を始めたのは2003年第1四半期のことだ。日本では東京エレクトロン、ネットワンシステムズ、NTTPCコミュニケーションズと共同で2002年11月にプロケット・ネットワークス・ジャパンを設立している。

米Procket Networks CEO兼社長のローランド・アクラ氏

 アクラ氏は同社のライバルにあたる米Cisco Systemsのシニア・バイスプレジデント兼CTOを務めていた人物で、1月5日に同職についたばかりだ。

 Procketの技術的な強みについて、アクラ氏はPRO/Siliconと呼ぶプログラマブルVLSIと、PRO/1 Modular Service Environmentと呼ぶソフトウェアを挙げる。PRO/Siliconは新たな機能追加にも対応することができ、結果としてルータの寿命を長期化できるという。「将来求められる要件がどんなものであるかはわからない。PRO/Siliconは柔軟性をもって変更できるため、経済性を確保できる。将来に対する保険と考えてもらえばいい」(アクラ氏)。Procketではこの開発のために、2億5000万〜3億ドルをつぎ込んだという。PRO/1 Modular Service Environmentは完全にモジュール化したソフトウェアで、ソフトに問題が起きても部分な対応で済む点が特徴。キャリアが求めるレベルの高い可用性を備えているとのことだ。

 Procketでは日本市場を重視しており、顧客の要望を積極的に取り入れた技術開発を行っている。IPv6への対応や、VoIPや動画配信のためのQoSなどがその例だ。アクラ氏によると、国内における2003年の受注高は1000万ドル弱という。すでにNTTPCコミュニケーションズで採用されているほか、メディアエクスチェンジや通信総合研究所でも導入が予定されている。

 2004年度は顧客サービスとパートナーシップの強化を図ることで、売上を拡大したいと話す。特に、大型のキャリアへの納入を狙っているという。日本では19日に、富士通、メディアエクスチェンジ、東京エレクトロンと共同で、高速バックボーンの構築に関して技術協力を行うことを発表している。今後は顧客と共同で技術開発を行うことも検討しているという。なお、国内での販売は東京エレクトロン、ネットワンシステムズ、NTTPCコミュニケーションズが行っている。

 現時点での売上規模などについては明らかにされなかったが、プロケット・ネットワークス・ジャパン代表取締役の中岡直氏はProcketの黒字化時期について、「来年の上半期には四半期ベースで黒字化したいと考えている」と話した。

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