米IBMと米RealNetworksは、共通の敵である米Microsoftに対抗するため、デジタルメディア技術分野で提携を行い、コンテンツ所有者向けの電子販売用システムを構築していく。
両社は8日(米国時間)、デジタルメディア管理システムの開発、マーケティング、販売を共同で行うために提携関係を結ぶと発表する予定。2004年第2四半期中に出荷予定のこの製品は、顧客企業が、所有するコンテンツ資産のデジタル化、管理、保護を行う目的のほか、コンテンツ使用にあたっての配布や販売を行うもので、この製品を導入すれば、そのためのインフラを一から構築する必要がない。
IBMとRealNetworksは、米ネバダ州ラスベガスで開催中のConsumer Electronics Show(CES)で、この提携を発表する。
「この提携により、これまでコンテンツのオンライン配信ができなかった多くのコンテンツ所有者が、ビジネスをスタートさせることが可能になった」と、RealNetworksでマーケティング部門のシニアバイスプレジデントを努めるDan Sheehanは述べている。
なお、この契約に関する金額については、明らかにされていない。
この提携で、両社は新規顧客の開拓ならびに、デジタルメディア分野での売上を見込むことができるようになるだろうと、アナリストは説明する。調査会社米IDCによれば、コンテンツ管理/配布の分野は、2007年までに約10億ドルもの市場規模になることが見込まれている。今回の提携が、Microsoftへ打撃を与え、IBMとRealにはMicrosoft以外のデジタルメディアソリューションを求める顧客にアピールする機会を与えることになるかもしれない。Windowsベースのサーバシステムやメディア配信技術が市場を支配しており、またMicrosoftは自社のメディア配信システムで、エンターテイメント業界に積極的なアプローチをかけている。
IBMにとっては、RealNetworksのデジタルメディア配信ならびに著作権管理(DRM)技術を使用しているコンテンツ保持者への販売機会を得ることになり、一方RealNetworksには、音楽配信やビデオストリーミングを開始した企業向けの資産管理ビジネス参入へのきっかけを得るメリットがある。さらには、同社のHelix Serverや、ビデオ/オーディオ圧縮技術(コーデック)をいっそうアピールする機会にもつながる。
この動きは、オンラインエンターテイメント業界が健全なビジネスモデルをベースに立ち上がろうするなかで起こったものだ。米AppleのiTunes Music Storeは、多くのライバルに対してデジタル音楽ダウンロードサービスの需要があることを示し、またRealNetworksやソニー、さらにはMicrosoftなどもこの競争に参入しようとしている。また、ブロードバンド・インターネットアクセスがより身近になってきたことで、ビデオ配信サービスも盛り上がりつつある。例えば、MSNは今年に入り、広告付きのオンラインビデオ配信サービスを正式に開始した。
今回の提携で、IBMはストレージおよびデジタルコンテンツ管理関連のミドルウェアプラットフォームを提供することになる。また同社は、顧客企業に、オンライン店舗の構築や電子決済を行うための技術も提供する。IBMのWebSphereは、Java 2 Enterprise Edition(J2EE)をベースにつくらえた、柔軟性の高い電子商取引用のシステムで、ビデオリップ、ムービー、そして電子メール(のメッセージ)といった「構造化されていないデータ」を組織化して管理し、さらにそれを他のデジタルメディアアプリケーションと関連付けられるといった機能を持つ。
一方Realは、同社のRealAudioおよびRealVideo 10技術を提供する。両技術は、Realが発表したばかりのオーディオ/ビデオ圧縮用ソフトで、IPネットワーク経由で転送できるよう、メディアファイルを圧縮するもの。Realはまた、同社のHelixというデジタルメディアサーバ券DRMソフトも提供することになる。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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