ファイル交換ネットワークを運営する企業がつくる業界団体は、連邦議会の議員がPtoPを厳しく批判していることに対し、著作権で保護された音楽ファイルや幼児ポルノを自らの運営するネットワークから閉め出すことは技術的に不可能だと述べた。
業界団体P2P Unitedは米国時間28日、Lindsay Graham上院議員(ノースカロライナ州選出・共和党)へ送った長い書簡の中で、ファイル交換企業各社が技術的に実行不可能な基準を課されるべきではないと主張した。
P2P Unitedのエグゼクティブディレクター、Adam Eisgrauは、議員たちは「PtoPサービスの技術的能力に関して、利己的な業界の手で入念に操作された、誤った情報を伝えられている」と述べている。「我々は著作権で保護された作品や、不適切な性的描写を含むデータをフィルタリングしないというのではない。実際は、したくても、できないのだ」。
相当な量の技術文書を付加したP2P Unitedの主張は、議会と法廷でファイル交換ネットワークへフィルタリングを要求する声が高まりつつあるなかで公表された。
Grahamと他の4名の議員は昨年11月、P2P United加盟企業に書簡を送り、ファイル交換企業に対して、自社の運営するネットワーク上での違法データの取引防止に取り組むよう保証を求めた。
この書簡では、各社に対し、著作権で保護された作品やポルノをブロックできる、ある種のフィルタリング機能の開発に取り組むことを求めていた。
これに対し、ファイル交換企業側は、この種のフィルタリングはGnutellaやKazaaなどの分散システムでは不可能だと異議を唱えた。
オリジナルのNapsterなど古いファイル交換ネットワークでは、検索クエリが中心にあるサーバを通過するため、フィルタリングのメカニズムの実現性は高くなる。
だが、完全に分散したネットワークでは、常に状態が変化しているいくつもの「ノード」、もしくは個々のコンピュータ上にクエリが拡散するため、フィルタリングのアイデアは現実的ではないという。そして、強制的にネットワークを変更し、例えば中央集権型システムのような何か別のものにするほかに、フィルタリング技術が効力を持つ方法はないと付け加えている。
しかし、企業の中には、フィルタリングができるというところもある。
楽曲を認識するソフトウェアを開発し、ISPのネットワーク内にインストールしているAudible Magicは、著作権で保護された楽曲の交換を特定し、これを阻止できると主張しており、ワシントンD.C.で議員と報道陣を前に自社ソフトウェアのデモを行った。
このデモはRIAA(全米レコード協会)がお膳立てしたもので、ファイル交換ネットワークにおいてフィルタリングは不可能という考えを論破することを目的として行われた。
「Audible Magicはフィルタリングが実行可能であることを証明した。これは単なる憶測ではない。このデモでは、今日市場に出回る本物の技術が使われている。仮にPtoPコミュニティが合法化を真剣に考えているというなら、違法コピーの問題に取り組むために、この種の技術的な手段を探しているはずだ」と、RIAAのCEOであるMitch Bainwolは語った。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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