ヤフー、見通し好調で株価に先高思惑浮上

 日経平均株価が昨年来高値(昨年10月20日終値の1万1161円)更新を前に足踏み状態を続けるなかで、このところヤフーの株価が順調な回復をみせ、150万円台での推移となっている。株価回復の背景には、同社の業績が順調に拡大するだろうとの見込みに対する期待があるという。

 ヤフーが先週21日に発表した、2004年3月期の第3四半期(10〜12月)の連結決算は、売上高200億8100万円(前年同期比55.4%増)、営業利益111億600万円(同63.1%増)、経常利益112億600万円(同65.2%増)、純利益66億4800万円(同87%増)となった。

 主力の広告収入が好調に推移し、広告関連の売り上げは、2001年10〜12月期以来8四半期連続して増加し、58億3000万円に達した。さらに、月額のシステム利用料を値下げするなどして法人店舗拡大を目指しているオークション事業では、12月の月間取扱高が462億円となり、月間平均の出品数も過去最高を記録した。

 こうした第3四半期の好業績を背景に、2004年3月期の連結ベースの通期業績についても上方修正を発表した。売上高を従来予想の710〜730億円から735〜755億円へ、経常利益も365〜375億円から390〜405億円へ、純利益も220〜226億円から232〜240億円へとそれぞれ上方修正だ。

 総務省が発表した2003年11月末時点での「インターネット接続サービスの利用者等の推移」によると、DSLの利用者は、991.1万人(前月比36.2万人増)、FTTH(光ファイバー接続)の利用者数は81.5万人(同3.7万人増)、CATV(ケーブルテレビ)の利用者は242.8万人(同3.7万人増)で、ブロードバンドサービス利用者数の総数は1315万人(同46.6万人増)だ。これは、ヤフーにとっての追い風環境が加速していることを意味する。

 2003年の日本国内のインターネット広告市場は1000億円を上回ったものと推測される。そのなかで、ヤフーの2003年暦年の広告関連売上高は192億円に達しており、20%近いシェアを占めている。

 今後間もなく、現在のパソコンが「1家に1台」の時代から「1人に1台」、さらに「1人に2台(家庭に1台と職場あるいは学校に1台)」の時代が到来することになる。このようにインターネット環境のさらなる充実が確実視されるなか、ネット広告の市場規模は近い将来1兆円に達するものと予想される。こうした状況下、この分野で突出したビジネスモデルと展開力を持つヤフーのシェアはさらに拡大するものと見込まれる。

 ただ、ヤフーの場合、株価面では常に期待が先行する傾向があることを考慮しておかなければならない。現在の150万円台の株価水準では、今期の予想連結PER(株価収益率)も120倍と割高感も否めない。今後、株価が一段の上昇を達成するためには、2005年3月期の業績見通しがある程度明らかになることが必要といえそうだ。

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