Eclipseは、ますます影響力を強めつつあるオープンソース開発ツールプロジェクトだが、そのEclipseが来週初めてのプログラマーカンファレンスを開催する。現在、業界内では同プロジェクトを支持する勢いが増しているものの、一方で今後の方向性に対する疑問は払拭されていない。
Eclipseは、来週のEclipseConカンファレンスで、発起人であるIBMからの独立を正式に発表するとみられているが、これに契機にITプロバイダーやIBMのライバル各社がEclipseに参加し、方向性の決定に関与するための道が開ける。
これは、Eclipseにとって、影響力を大幅に拡大するための大きな転機となる。Eclipseプロジェクトのリーダーで、Advanced Systems Conceptsというツールベンダーで設計主任を務めるDavid Ormeは、「これまでの組織にあったIBMの影響力は大きく低下する。(Eclipseは)当初からIBMの枠に収まるようなものではなかった。これを実現するためには、IBMが支配権を放棄する必要があったのだ」と語った。
Eclipseは、IBMが4000万ドルを寄付して2001年の11月に発足した。同組織はそれ以来メンバーを50社にまで拡大し、プロジェクト自体と同名の、人気の高いJava開発ツールプラットフォームを生み出した。Eclipseを使えば、デベロッパーが1つのプログラミングアプリケーション中で異なるタイプのツールを組み合わせられるようになる。Eclipseのようなソフトウェアが普及する以前は、多数のJavaツールを連動させるのは、不可能とまではいかなくとも困難なことだった。
しかし、自社のJavaソフトウェアの販売促進に利用するなど、EclipseのアジェンダはIBMが独占的に決めていると業界が受け止めたことで、Javaを生みだしたSun Microsystemが同組織への参加を見合わせていた。
IBMの経営陣は、Eclipse(日食)という名前が、ライバルのSun打倒をややあからさまに表現する言葉として採用されたのではとの意見を一蹴した。Sunは以前、同組織への参加にあたって名称の変更を求めたが実現しなかった。RedMonkのアナリスト、James Governorは、「反IBM陣営の企業の中には、IBMとのつながりだけが理由でEclipseをサポートできないところもある」と述べている。
今回、Eclipseが独自組織へと移行するのにともない、多くの開発ツールメーカーが同プロジェクトを注意深く見守るようになり、また参加に踏み切る可能性が出てきた。これは、EclipseがJava関連の開発にかかわる問題で、業界の方向性決定に大きな影響力を持つようになったためだ。
調査会社Meta Groupのアナリスト、Thomas Murphyは、「EclipseがIBMから分離すれば、他社との提携が促進される。問題は、彼らが本当にコミュニティを構築できるかだ」と述べている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
「程よく明るい」照明がオフィスにもたらす
業務生産性の向上への意外な効果
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」